◆SH0918◆冒頭規定の意義―典型契約論― 第35回 契約法体系化の試み(4) 浅場達也(2016/12/09)

冒頭規定の意義
―典型契約論―

契約法体系化の試み(4)

みずほ証券 法務部

浅 場 達 也

 

Ⅱ リスクの高低による体系化

(2) 何の・何に基づく・何のための体系か

 「契約法体系化」といっても、自己目的的に「体系化」が存在するわけではないだろう。中田裕康教授は、『民法の争点』の中の「民法の体系」において、「何の・何に基づく・何のための体系か」との問いを立てている。これまでの本稿の検討を踏まえると、これに対しては、次のように答えられるだろう。

 第1に、「何の」体系か、すなわち、体系化の「対象」についてである。「契約各則」の体系化である以上、その対象が、契約各則の諸条文であることは、当然のことのように考えられる。しかし、それだけでは十分ではない。下の「何のための」体系かとの箇所で検討するように、「リスクの明確化・言語化」と、「リスクの回避・最小化」が体系化の目的と考えられるがゆえに、契約各則の諸条文に加えて、「合意による内容変更が難しい概念」を、体系化の1つの要素・項目と考える必要がある。「合意による内容変更が難しい概念」は、その内容の変更・修正が、「無効」という制裁をもたらす可能性を生じさせるため、任意規定よりもリスクが高いからである。

続きはこちらから

 

 ※本稿中、意見にわたる部分については、執筆者の個人的な意見であり、執筆者の所属する組織の見解を示すものではない。

 

(あさば・たつや)

1958年12月生まれ。1983年東京大学法学部卒業後、同年日本興業銀行へ入行。1992年ミシガン大学ロースクールLLM、2001年から2008年にみずほ証券法務室長を務め、現在はみずほ証券法務部に勤務。