◆SH0870◆取締役協会、「経営者報酬ガイドライン(第四版)」の公表 冨田雄介(2016/11/08)

取締役協会、「経営者報酬ガイドライン(第四版)」の公表

岩田合同法律事務所

弁護士 冨 田 雄 介

 

 本年10月26日、日本取締役協会(以下「協会」という。)の「投資家との対話委員会」は、「経営者報酬ガイドライン(第四版)」(以下「ガイドライン」という。)を公表した。

 協会によれば、今般のガイドラインの改定は、平成27年6月にコーポレートガバナンス・コード(以下「CGコード」という。)が制定されたものの各企業においては形式的な対応も散見されることから、英米独等の報酬ガバナンスの水準を目指すことをベストエフォートアプローチとして行われたものとのことである。ガイドラインはあくまでも実務的な指針の一つという位置づけではあるものの、特に海外投資家の株式保有比率の高い企業や報酬ガバナンスの観点から国際競争力を高めたい企業にとっては参考になると思われるため、以下、その概要について解説する。

 

 ガイドラインの主な改定点は、①ペイ・フォー・パフォーマンス(PFP)の強化、②報酬委員会の機能強化、および③リスク管理である。

 上記①は、日本の平均的なCEO報酬を欧米企業のそれと比較すると、年次インセンティブと長期インセンティブが占める割合が低いことを踏まえ、これらのインセンティブを拡大することを推奨するものである。もっとも、単にインセンティブの拡大のみを推奨するのではなく、低業績の際には減額が十分行われるよう実質的なPFP制度設計を行うことも推奨している(上記③に関する後述の説明も参照)。

 こうしたいわゆるインセンティブ報酬に関して、CGコードでは、健全な企業家精神の発揮に資するような経営陣へのインセンティブ付けとして、中長期的な業績と連動する報酬の割合や自社株報酬の割合の適切な設定が求められている(原則4-2、補充原則4-2①)。この点、特に中長期のインセンティブに関しては、平成28年度税制改正により、特定譲渡制限付株式(役務提供の対価として個人に生ずる報酬債権の給付と引き換えに交付され、一定期間の譲渡制限と無償取得事由の定めがある株式。いわゆる日本版リストリクテッド・ストック)につき、付与法人における損金算入が認められるものとされ、今後はこれに業績条件等を付したいわゆるパフォーマンス・シェアの活用が拡大すると予想される。

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取締役協会、「経営者報酬ガイドライン(第四版)」の公表
http://www.jacd.jp/news/comp/161026_post-170.html

 

(とみた・ゆうすけ)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2010年弁護士登録。2014年10月から2016年9月まで三井住友信託銀行株式会社勤務。争訟解決業務、金融機関関連業務、株主総会関連を含めたジェネラルコーポレート、競争法関連業務等を手掛ける。『Q&A 家事事件と銀行実務』(共著、日本加除出版、2013年)、『Q&Aインターネットバンキング』(共著 金融財政事情研究会 2014年)、『業種別ビジネス契約書作成マニュアル』(日本加除出版、2015年)等著作・論文多数。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

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