◆SH4082◆厚労省、「これからの労働時間制度に関する検討会」の報告書を公表 北川弘樹(2022/07/29)

厚労省、「これからの労働時間制度に関する検討会」の報告書を公表

岩田合同法律事務所

弁護士 北 川 弘 樹

 

1 はじめに

 厚生労働省は、2022年7月15日、「これからの労働時間制度に関する検討会」(以下「本検討会」という。)における検討結果を取りまとめた報告書(案)(以下「本報告書」という。)を公表した。

 裁量労働制については、制度の趣旨に適った対象業務の範囲や、労働者の裁量と健康を確保する方策等について課題があるとされ、かねてより、制度の趣旨に即した活用を促すための制度改正が提唱されていた。2018年に成立し、2019年から順次施行された働き方改革関連法の中で裁量労働制度に関する改正も予定されていたものの、同法案の審議過程において、議論の前提とされた厚生労働省の統計調査の有意性・信頼性に問題があることが判明したため、同法案からは裁量労働制度に関する部分が全面削除され、改めて制度の適用・運用実態を正確に把握し直した上で議論をし直すこととされていた。本検討会では、以上の経緯を経て、改めて実施された統計調査の調査結果を踏まえて2021年7月26日から2022年7月15日まで計16回の検討会が開催され、裁量労働制の制度改革案等についての検討が重ねられ、本報告書が取りまとめられた。

 本稿では、本報告書の概要を紹介する。

 

2 労働時間制度に関するこれまでの経緯と経済社会の変化

 本報告書は、今後の労働時間制度の在り方を見直すに当たっては、次の3点の経済社会の変化やその影響を考慮する必要があるとしている。

 第一に、少子高齢化・生産年齢人口の減少による企業間の人材の獲得競争の激化である。

 第二に、出産、育児等のライフステージに応じ様々な事情を抱えた労働者の多様なニーズに対応できる環境の整備が求められていることである。また、女性・高齢者・外国人をはじめとした多様な労働者の労働市場への参入が進み、多様な働き方を求める多様な人材の労働市場への参画を可能とすることも要請されている。

 第三に、デジタル化やコロナ禍の影響等による労働者の意識や企業が求める人材像等の変化である。すなわち、労働者側からは、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を求めるニーズが強まり、副業・兼業を含め自らの望む働き方ができるような企業の選択が進み、企業側からは、AI等の技術の普及・進展に対応できる、創造的思考等の能力を有する人材の需要が高まっている。

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(きたがわ・ひろき)

岩田合同法律事務所弁護士。2015年東京大学法学部卒業。2017年弁護士登録。訴訟・紛争解決、人事労務分野など企業法務全般を取り扱う。

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1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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