◆SHK202201◆ISSB気候関連開示基準草案の産業別指標 安井桂大(2022/07/26)

ISSB気候関連開示基準草案の産業別指標

西村あさひ法律事務所

弁護士 安 井 桂 大

 

 旬刊商事法務2301号(7月25日号)に掲載された「ディスクロージャーワーキング・グループ報告と国際開示基準の策定動向を踏まえたサステナビリティ情報開示」では、本年6月に公表された金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ(令和3年度)」の報告書におけるサステナビリティ情報開示に関する内容を概説しつつ、IFRS財団の下に設置された国際サステナビリティ基準審議会(International Sustainability Standards Board。以下「ISSB」という。)から本年3月に公表された国際的な開示基準の草案について、そのポイントを紹介した。

 本稿では、上記誌面では紹介しきれなかったISSBの気候関連開示に係る開示基準の草案(以下「気候関連開示基準草案」という。)で示されている産業別指標について、その概要を解説する。

 

1 産業別指標の構成等

 気候関連開示基準草案においては、一般的な記載枠組みとして、TCFDで用いられている「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4つの構成要素に基づく情報開示を求める枠組みが示されているが、「指標と目標」の開示については、産業横断的な指標や企業により設定された目標に向けた進捗を測定するために用いるその他の指標等に加えて、産業別の指標についても開示することが求められている(気候関連開示基準草案20項)。

 産業別指標については、気候関連開示基準草案の付録Bに関連する規定が定められており、SASBの枠組み等を参考に別冊で68業種の指標が具体的に示されている。企業はSASBが公表している産業分類等も参考にしつつ特定の業種を選択する必要があるが、複数の業種にまたがって事業を営む企業においては、そうした複数業種に対する要求内容を全て適用する必要がある場合があり得るとされている(同B8項、B9項)。

 具体的な指標等の内容は業種ごとに異なるが、ISSBの産業別指標は、いずれも以下の共通する枠組みで構成されている(同B4項)。

 

  1. ① 産業の説明
  2.   適用範囲を明確にするための、関連するビジネスモデル、基礎となる経済活動、一般的なサステナビリティへの影響および依存関係、ならびに当該産業の特徴
     
  3. ② 開示トピック
  4.   当該業種の企業によって行われる活動に基づく、特定のサステナビリティ関連のリスク・機会(そうしたリスク・機会の管理が企業価値にどのように影響するかについての説明を含む)
     
  5. ③ 指標
  6.   特定の開示トピックごとにパフォーマンスに関する有用な情報を示すものとして定められる指標
     
  7. ④ 技術的プロトコル
  8.   定義、範囲、適用および編集に関するガイダンス
     
  9. ⑤ 活動指標
  10.   データを標準化して比較を容易にするため、企業による特定の活動やオペレーションの規模を定量的に示す指標

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(やすい・けいた)

西村あさひ法律事務所パートナー弁護士(2010年弁護士登録)。2016-2018年に金融庁でコーポレートガバナンス・コードの改訂等を担当。2019-2020年にはフィデリティ投信へ出向し、エンゲージメント・議決権行使およびサステナブル投資の実務に従事。コーポレートガバナンスやサステナビリティ対応、M&A、株主アクティビズム対応等の企業法務全般を幅広く手掛ける。主な著作(共著含む)として、「サステナビリティ情報開示の実践」旬刊商事法務2292号(2022)14頁、『サステナビリティ委員会の実務』(商事法務、2022)、『コーポレートガバナンス・コードの実践〔第3版〕』(日経BP、2021)など。




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