◆SH4033◆シンガポール:ギャンブル(賭博)規制の全面的見直し(2) 酒井嘉彦(2022/06/21)

シンガポール:ギャンブル(賭博)規制の全面的見直し(2)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 酒 井 嘉 彦

(承前)

(3)ギャンブル要素のあるゲーム

 上記の通り、ギャンブルとギャンブル要素のあるゲームとの境界は不明瞭になってきており、その対応方針が定められている。

 

(a)     例えば、ミステリーボックス(中身が事前にわからずランダムで賞品を獲得する福袋のようなもの)は宝くじに似ており、特にスマートフォンやゲーム機などの高額商品のように現金と容易に交換できる可能性のあるものは、その商品の価値が高まるに伴い、射幸性が高まる。また、アーケードゲームやクレーンゲームは、近年、高額商品を提供するものが増え、これらのゲームが偶然の要素を含むことと相まって、これらのゲームの操作がギャンブルに類似するものとして懸念されてきた。これらに対応するために、MHAは調査結果を踏まえ、商品の金額の上限を100シンガポールドルとすることを提案している。かかる上限設定は、事業者を過剰に規制することなく、ユーザーをこれらのゲームに誘引するのに十分なものである一方、ギャンブル行為による社会的問題を引き起こさないものとしてバランスの取られたものであるとの説明がなされている。

 

(b)     オンラインゲームにおいて、ルートボックス(アイテムをランダムに獲得できるいわゆるガチャの仕組み)など、ギャンブル要素が含まれることは一般的になってきている。この点、新法案の適用を受ける行為である「ギャンブル(gambling)」の定義の中には、「ゲーム活動を行うこと(engaging in gaming activity)」が含まれており、それは、運が左右するゲームをプレイし、それによって金銭、金銭と同等のもの又はその他価値のあるものを獲得するチャンスを得ることを意味するとされている。したがって、ギャンブル要素を伴うゲーム(例えば、ルートボックスなど)について、ゲーム内の賞品をゲーム外の現実世界において金銭又はその他価値のあるものと交換することができるようなスキームが採られている場合、上記の「gambling」の定義に該当し、一定の適用除外に該当しない限り、新法案の規律の適用を受ける可能性がある。他方で、譲渡可能なバーチャル・アイテムをそのゲームプレイの文脈において取得・保持することについて許容する条件を定めることも同時に提案されている。

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(さかい・よしひこ)

2011年から長島・大野・常松法律事務所にて勤務し、各種ファイナンス案件、不動産取引を中心に、企業法務全般に従事。2018年から2019年にかけて、Blake, Cassels & Graydon LLP(Toronto)に勤務。その後、2019 年より長島・大野・常松法律事務所シンガポール・オフィスにて、主に東南アジア地域における日本企業の進出・投資案件を中心に、日系企業に関連する法律業務に広く関与している。京都大学法学部、京都大学法科大学院、University of California, Los Angeles, School of Law(LL.M.)卒業。

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