◆SH3986◆個人情報保護委員会事務局レポート:仮名加工情報・匿名加工情報 信頼ある個人情報の利活用に向けて―制度編― 井上乾介/西村順一郎(2022/04/26)

個人情報保護委員会事務局レポート:
仮名加工情報・匿名加工情報 信頼ある個人情報の利活用に向けて―制度編

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士  井 上  乾 介

弁護士  西 村  順一郎

 

1 はじめに

 2022年3月、個人情報保護委員会事務局は、事業者における仮名加工情報および匿名加工情報の利用促進を目的として、「個人情報保護委員会事務局レポート:仮名加工情報・匿名加工情報 信頼ある個人情報の利活用に向けて―制度編」の第2版を作成・公表した。

 本レポートは、2017年に公表されたレポートの改訂版であり、仮名加工情報や匿名加工情報を作成するための考え方、実際に取り扱う際に参考となる事項や考え方を示しており、実務上有益な参考資料となっている。本レポートは各制度を説明する「制度編」と、活用事例を紹介する「事例編」から構成されているが、本稿では、主に新設の仮名加工情報に焦点を当てて、本レポートの「制度編」の概要を紹介する。

 

2 個人情報、仮名加工情報、匿名加工情報の概要

 まず、本レポートでは、個人情報、仮名加工情報、匿名加工情報の定義および個人情報保護法上の規律を、それぞれの差異に着目して、以下の整理を示している。

 

3 仮名加工情報

⑴ 仮名加工情報の特徴

 本レポートでは、新設の仮名加工情報の特徴として、以下の3点を挙げている。

  1. ① 変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超える利用目的の変更を本人の同意なく行うことができること
  2. ② 匿名加工情報と比して、個人ごとの特徴を詳細に残して加工を行うことができること
  3. ③ 漏洩等が生じた場合に、報告等を行う必要がないこと

 また、仮名加工情報の留意点として、仮名加工情報が「他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができる」状態にある場合、個人情報にも該当することには留意が必要であるとしている。

⑵ 仮名加工情報の利活用事例

 本レポートは、仮名加工情報の特徴を踏まえた利活用事例として2つの想定事例を紹介している。

① 事業者が持つ一つのデータベースに含まれる個人情報を仮名加工情報に加工し利用目的を変更する事例

  本レポートでは、上記の事例として、オンライン通販事業を営む事業者が、オンライン通販事業により取得した購買情報の利用目的を変更し、新規事業である実店舗事業の出店計画を検討するために利⽤することを⽬的に、以下のように仮名加工情報を作成している事例を挙げている。

続きはこちらから

バックナンバーはこちら

 

(いのうえ・けんすけ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LLM)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。

 

(にしむら・じゅんいちろう)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2016年東京大学法学部卒業。2018年東京大学法科大学院卒業。2019年弁護士登録(第二東京弁護士会)。主な取扱い分野は、知的財産法、個人情報保護法。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング

 

〈関連リンク〉



メールで情報をお届けします
(毎週火曜日・金曜日)