◆SH3966◆証券監視委、SMBC日興証券株式会社による相場操縦事件の告発 鈴木智弘(2022/04/08)

証券監視委、SMBC日興証券株式会社による相場操縦事件の告発

岩田合同法律事務所

弁護士 鈴 木 智 弘

 

1 告発の対象となった犯則事実の内容

 証券取引等監視委員会は、SMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興」という。)の幹部ら(以下「犯則嫌疑者ら」という。)が、東証1部の上場株式を対象とする同社の「ブロックオファー」取引(※)に関して、売買価格の基準となる取引当日の終値等が前日の終値に比して大幅に下落することを回避し、その株価を一定の金額に維持しようと企て、指値での買い注文を大量に入れるなどの方法により、同株券の買付けの申込みを行いその一部を買い付けており、かかる行為は金融商品取引法において規制されている安定操作に該当するとして、東京地検に告発した(告発の対象となった事実は5件あるが、行為態様はいずれも同一である。)。

※ 「ブロックオファー」取引とは、大株主から株式を売却したいとの意向を受けた際に、証券会社がまず買い取り、取引時間外で投資家に売却するという取引を指し、株の大量放出によって株価が急落する影響を抑えられるという利点がある。

 これを受けて、東京地検特捜部は、2022年3月24日、SMBC日興らを金融商品取引法違反(安定操作規制違反)を理由として起訴した。

 

2 安定操作の規制

 金融商品取引法(以下「金商法」という。)159条3項は、いわゆる安定操作(「相場をくぎ付けし、固定し、又は安定させる目的」をもって、一連の有価証券の売買等を行うこと)を規制している。

 もっとも、有価証券の募集・売出し等によって、有価証券が大量に市場に送り出される際に、一時的に市場の需給のバランスが崩れ、供給過剰により価格が下落し募集・売出しが困難となるおそれがある。そこで、金商法は、企業が円滑に資金調達できるため一定の範囲で安定操作を認める必要性があることを踏まえ、一定の要件の下で安定操作を行うことを認めている(金商法施行令20条1項)。

 具体的には、以下の要件を満たす安定操作取引は許容される。反対に、この要件を満たさない安定操作取引は違法となる。

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(すずき・ともひろ)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2013年慶應義塾大学法学部卒業。2015年弁護士登録。

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1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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