◆SH3922◆中国:M&Aの買主候補が中国企業である場合の留意点――中国の対外投資規制概要と対処(2) 鹿 はせる(2022/03/01)

中国:M&Aの買主候補が中国企業である場合の留意点
――中国の対外投資規制概要と対処(2)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 鹿   はせる

 

(承前)

2. 実務上の典型問題

⑴ 対外投資許認可の申請時点及び有効期限

 M&Aの買主(候補)が中国企業である場合、まず問題となりやすいのは、契約を締結しても、買主の対外投資許認可が無事取得できるか、いつ取得できるかがどうかわからない、取得できても、期限内にクロージングしないと、同許認可の有効期限が切れる、という点である。

 

 これらの問題について、確かに、原則上対外投資許認可は「法的拘束力のある契約又は類似する書面」を締結後に申請することとなっており(契約等を申請の添付書類として提出する必要がある。)、また許認可の有効期限は2年とされている。しかし、実際には発展改革委員会によれば「法的拘束力のある契約の提出が困難であり、そのことに関する合理的かつ十分の説明」があれば必ずしも提出が必要ないとされている[1]。また、「法的拘束力のある契約又は類似する書面」は必ずしもいわゆる最終契約(DA)ではなく、法的拘束力のあるLOIでも認められる。許認可の有効期限も原則2年とされているものの、延長できることとなっている[2]。したがって、買主がこれらの許認可を理由にクロージングを遅らせる、拒む等した場合は、まず先方にそれらが法令上本当に回避できないか、確認検討を求めるべきであろう。

 

⑵ 価格調整問題

 次に問題となりやすいのは、買主から対外投資許認可の関係上、一度決めた取引価格を事後的に変更することができないため、価格調整を行うことができないと主張される点である。

 

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(ろく・はせる)

長島・大野・常松法律事務所東京オフィスパートナー。2006年東京大学法学部卒業。2008年東京大学法科大学院修了。2017年コロンビア大学ロースクール卒業(LL.M.)。2018年から2019年まで中国大手法律事務所の中倫法律事務所(北京)に駐在。M&A等のコーポレート業務、競争法業務の他、在中日系企業の企業法務全般及び中国企業の対日投資に関する法務サポートを行なっている。

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

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