◆SH3864◆総務省、電気通信事業ガバナンス検討会(第13回)――電気通信事業ガバナンスのあり方と実施すべき措置に関する検討状況 和田義光(2021/12/24)

総務省、電気通信事業ガバナンス検討会(第13回)

――電気通信事業ガバナンスのあり方と実施すべき措置に関する検討状況――

岩田合同法律事務所

弁護士 和 田 義 光

 

1 はじめに

 近年、電気通信事業を取り巻く環境の変化によって、情報の漏えい・不適正な取扱い等のリスクや通信サービス停止のリスクが高まりつつあり、これらにより、多様な個人的法益・社会的法益・国家的法益の侵害につながるおそれがあり、電気通信事業の円滑・適切な運営を確保することが一層重要になっている。

 電気通信事業ガバナンス検討会(以下「本検討会」という。)では、電気通信事業法を対象とした検討を通じて、利用者が安心できる電気通信役務の提供の確保を図っていく方策として、Ⅰ 電気通信事業に係る情報の漏えい・不適正な取扱いに対するリスク対策、Ⅱ ネットワークの多様化等を踏まえた通信サービス停止に対するリスク対策、Ⅲ 情報の適正な取扱いや通信サービスの提供等に関する利用者等への情報提供の3つの観点から整理しているが、論点が多岐にわたるため、本稿では、Ⅰ 電気通信事業に係る情報の漏えい・不適正な取扱いに対するリスク対策について取り上げることとする。

 

2 情報の漏えい・不適正な取扱い等のリスクへの対応に係る考え方

 本検討会では、情報の漏えい・不適正な取扱い等のリスクへの対応に係る考え方の視点として、①対象となる情報、②対象となる者、③情報規律の内容等を挙げて検討している。

⑴ 対象となる情報

 本検討会では、電気通信が我が国の経済・社会活動、国民生活の基盤として重要な役割を果たすようになりつつあること、情報の漏えい・不適正取扱い等が利用者に及ぼす影響の大きさなどを踏まえ、利用者が安心できる電気通信役務の提供を確保する観点を重視し、通信の秘密に関する情報を含む「電気通信役務利用者情報」(電気通信役務の利用者に関する情報であって利用者を識別することができるもの)を新たに適正管理を行うべき情報として整理することが検討されている。

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(わだ・よしみつ)

岩田合同法律事務所所属。2014年北海道大学法学部卒業。2016年一橋大学法科大学院修了。2018年1月裁判官任官。松山地方裁判所勤務を経て、2021年4月「判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律」に基づき弁護士登録。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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