◆SH3832◆オーケー株式会社、株式会社関西スーパーマーケットの株式交換差止めの仮処分申立てを公表 上西拓也(2021/11/19)

オーケー株式会社、株式会社関西スーパーマーケットの株式交換差止めの
仮処分申立てを公表

岩田合同法律事務所

弁護士 上 西 拓 也

 

 令和3年11月9日、オーケー株式会社は、株式会社関西スーパーマーケットの株式交換の差止めを求める仮処分命令を申し立てたことを公表した。この申立てについて法的観点から解説を加えつつ紹介する。

 

 令和3年11月9日、オーケー株式会社(以下「オーケー」)は株式会社関西スーパーマーケット(以下「関西スーパー」)とエイチ・ツー・オー リテイリンググループのイズミヤ株式会社及び株式会社阪急オアシスとの間の各株式交換(以下「本株式交換」)の差止めを求めて、同日、仮処分を神戸地方裁判所に申し立てたこと(以下「本仮処分申立て」)を公表した。

 

 10月29日、関西スーパーは、同日に開催された臨時株主総会において、本株式交換に係る株式交換契約を承認する旨の議決を含む各議案が承認されたと発表した。これに対し、関西スーパーについてTOBによる買収を提案し、統合後の事業計画に合理性がないなどとして本株式交換に反対していたオーケーが、臨時株主総会における集計に関し疑義があるとして本仮処分申立てをするに至ったものである。

 オーケー及び関西スーパーの公表から整理される事実関係は大要以下のとおりである。

 

【本仮処分申立てに至る経緯】[1]

10月29日 関西スーパーの臨時株主総会において、本株式交換に係る株式交換契約を承認する旨の議決を含む各議案が承認される。株式交換契約承認議案の賛成は66.68%(表決数は3分の2以上)。
11月1日 オーケー、株主総会の結果は関西スーパーの株主の判断であると受け止め、TOBに係る提案を取り下げることとした旨をリリース。
11月8日 オーケー、「関西スーパー様の臨時株主総会における議決権行使の集計に係る疑義の判明について」と題するリリースにおいて、本株式交換に係る議案が「本来『否決』とされるべきであったにもかかわらず、それが覆され、関西スーパー様のご判断により『可決』として処理されたという疑義があることが総会検査役の報告により判明」したと発表。 同リリースにおいては、ある株主(以下「本件株主」)から「白紙で提出されたマークシートの一部が「棄権」から「賛成」に集計し直されたことは、議長自らが議場の株主の皆様に行っていた説明に反するものである上、議場の裏でこのような取り扱いの変更が行われたことは、議場にいる出席株主に対して一切説明されて」いないと指摘。
11月9日 関西スーパー、「当社の臨時株主総会における議決権行使の集計経過に関するお知らせ」と題するリリースにおいて、総会検査役の同席を求めたうえで、以下の諸点を確認したとして、本件株主が投票時に示した議決権行使の意思表示を正確に反映して集計を行ったものであり、取扱いの適法性に何らの疑義もない旨反論。
  1. ① 本件株主は、投票用紙の回収の際に、本議案全てについて事前に行った賛成の意思表示のとおり議決権行使をする意思である旨を回収担当者に対して述べていたこと
  2. ② 本件株主が当日受付に提出した職務代行通知書に各議案に全て賛成の意思表示をする旨が記載されていたこと
  3. ③ 本件株主が事前に提出していた委任状及び議決権行使書においても各議案について全て賛成の意思表示がなされていたこと
11月9日 オーケー、本仮処分申立てを公表。
11月12日 関西スーパー、「当社の臨時株主総会における議決権行使の集計経過に関するお知らせ②」と題するリリースにおいて、11月5日付け総会検査役報告書を補充及び訂正する内容の総会検査役報告書が提出されたこと並びに同報告書に基づきオーケーの11月8日付けリリースにおける事実関係の主張に反論。

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(うえにし・たくや)

岩田合同法律事務所弁護士。2008年東京大学法学部卒業、2010年東京大学法科大学院卒業。2011年弁護士登録。『Q&A 家事事件と銀行実務』(共著、日本加除出版、2013年)、「各業務における反社勢力対応のポイント」(共著。銀行実務658号)、『Q&Aインターネットバンキング』(共著 金融財政事情研究会 2014年)等著作多数。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

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1902 年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国におい て最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会 社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与してい る。

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