◆SH3824◆インド:緊急仲裁判断の執行に関するインド最高裁判決(3) 梶原啓(2021/11/10)

インド:緊急仲裁判断の執行に関するインド最高裁判決(3)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 梶 原   啓

 

(承前)
 

3. 本判決の位置付け

 本判決の第1の論点たる、緊急仲裁人の暫定措置を国内裁判所が執行できるかどうかという点は、2006年改正後のUNCITRAL国際商事仲裁モデル法においても取扱いが明確ではない。同モデル法に一応準拠しているインド仲裁法上も、上述のとおり、この点が明確ではなかった。ちなみに日本仲裁法も同様に緊急仲裁人への言及はない。他方、アジアの仲裁地として人気のあるシンガポールや香港においては緊急仲裁人に関する規定を含む法令があり、この点の解釈は比較的明確と考えられている。国際仲裁実務において有力な見解は、たとえ国内仲裁法が明確に定めておらずとも、緊急仲裁人の暫定措置も裁判所が執行すべき暫定措置に含まれると解すべきというものであった。インド最高裁の本判決の考え方は、基本的にこの見解と軌を一にするものである。

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(かじわら・けい)

国際商事仲裁及び投資協定仲裁をはじめとする国際紛争解決を扱う。日本国内訴訟にも深く関与してきた経験をいかし、アジアその他の地域に展開する日系企業と協働して費用対効果に優れた複雑商事紛争処理に尽力する。2013年弁護士登録(第一東京弁護士会)、長島・大野・常松法律事務所入所。2019年ニューヨーク大学ロースクール修了(LL.M. in International Business Regulation, Litigation and Arbitration; Hauser Global Scholar)。Jenner & Block LLPでの勤務を経て、2021年1月から長島・大野・常松法律事務所シンガポール・オフィスにおいて勤務開始。

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