◆SH3492◆eスポーツを巡るリーガル・トピック 第2回 eスポーツと著作権(1)――ゲームの著作権性とプレイ動画 長島匡克(2021/02/18)

eスポーツを巡るリーガル・トピック

第2回 eスポーツと著作権(1)――ゲームの著作権性とプレイ動画

TMI総合法律事務所

弁護士 長 島 匡 克

 

  1. 第 1 回 eスポーツを巡るリーガル・トピックの検討の前提として
  2. 第 2 回 eスポーツと著作権(1)――ゲームの著作物性とプレイ動画
  3. 第 3 回 eスポーツと著作権(2)――eスポーツの周辺ビジネスとゲームの著作権
  4. 第 4 回 eスポーツと著作権(3)――eスポーツ選手と著作権
  5. 第 5 回 eスポーツとフェアプレイ(1)――ドーピング等
  6. 第 6 回 eスポーツとフェアプレイ(2)――チート行為と法律――著作権を中心に
  7. 第 7 回 eスポーツとフェアプレイ(3)――チート行為と法律――その他の法令や利用規約を巡る論点
  8. 第 8 回 eスポーツにおける契約上の問題点(1)――大会参加契約・スポンサー契約・未成年との契約
  9. 第 9 回 eスポーツにおける契約上の問題点(2)――eスポーツにおける選手契約
  10. 第10回 eスポーツに係るその他の問題(eスポーツとSDGs等)

 

 eスポーツにおいてゲームは欠かせない要素であり、ゲーム会社がゲームに係る知的財産権を保有するため、その制約に服することになる。ゲームに関する知的財産権としては、特許権や商標権、不正競争防止法などが考えられるが、本連載ではeスポーツに関連するゲームに係る知的財産権として最も典型的な著作権に関する論点について概括したい。その中でも、今回は、ゲームの著作物性とプレイ動画を巡る問題を検討したい。

 

1 ゲームの著作物性

 著作権法の保護を受けるためには、著作物(著作権法2条1項1号。以下「法」という。)である必要がある。ゲームは、法10条各号に例示されている著作物に含まれていないが、裁判例によって複数の側面から著作物であることは裏付けられている。すなわち、ゲームのプログラムはプログラムの著作物であり、ゲームの影像(アウトプット)は映画の著作物として保護されるものと考えられている。また、ゲームに登場するキャラクターデザイン やゲームのストーリーなどが保護の対象となると判断されている。

 著作権法上の著作物となれば、当該著作物の著作者は、著作者人格権(同一性保持権等)を、著作権者は著作権(複製権、上映権、公衆送信(送信可能化)権、翻案権等)を有することになる。したがって、ゲームをゲーム会社の許諾なく、インストールしたり、公に上映したり、インターネット上で配信したりする行為は、原則として、著作権侵害である。

 著作権侵害が認められる場合には、民事上の差止め(法112条1項)及び損害賠償(民法709条)請求が認められることに加え、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金という刑事罰(法119条1項)の対象でもある。

 例えば、eスポーツ大会を開催する際に、競技の対象となるゲームタイトルをPC等にインストールをし、プレイ影像を観客に見せるために上映し、かつ配信プラットフォームを通じて配信したとする。この場合は、複製権(法21条)、上映権(同法22条の2)及び公衆送信(自動公衆送信を含む。)権(同法23条1項)の侵害となりうるため、eスポーツ大会の主催者は、原則として当該ゲームの著作権者であるゲーム会社からのライセンスを得る必要がある。

 もっとも、当該著作物の利用が、著作権法の例外規定にあたる場合には、著作権者の承諾なくとも利用できる。私的使用目的のための複製(法30条1項)や、引用(同法32条)、営利を目的としない上演等(同法38条1項)、時事の事件の報道のための利用(同法41条)などがその例である。

 以下では、eスポーツに関連するゲームの利用について、著作権法上の問題が生ずると思われる点について、検討を進める。

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(ながしま・まさかつ)

2010年早稲田大学法務研究科修了。2011年に弁護士登録。2012年からTMI総合法律事務所勤務。スポーツ・エンタテインメントを中心に幅広く業務を行う。2018年にUCLA School of Law (LL.M.)を終了。その後、米国・ロサンゼルス所在の日系企業及びスウェーデン・ストックホルム所在の法律事務所での研修を経て帰国。2020年カリフォルニア州弁護士登録。米国Esports Bar Association(EBA)の年次総会でパネリストとして登壇するなど、日米のeスポーツに関する知見を有する。eスポーツに関する執筆は以下のとおり(いずれも英語)。

 

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