◆SH3481◆EUデジタル市場法案 武藤まい(2021/02/10)

EUデジタル市場法案

Norton Rose Fulbright LLP

弁護士 武 藤 ま い

 

1 はじめに

  2020年12月15日、欧州委員会は、デジタル市場法(以下、「DMA」という。)案を規則の形で提案した。主に、競争法の事後的な執行では効果的に対処できていないデジタルセクターの急速な変化を事前に規制する手段を導入する目的である。が、その規制対象である不公正な行為は競争法上懸念されてきたものにとどまらない。DMAが採択された場合、ゲートキーパーとされる巨大オンラインプラットフォームに対してのみならず、EUにおいてオンラインプラットフォームを利用して事業を行っているあらゆる規模の事業者に対し、大きな影響が出る。そこで、本稿では、まだ草案の形ではあるが、DMAについて検討したい。

 

2 DMAの適用範囲

 DMAは、EU域内所在のビジネスユーザーとエンドユーザーに対して「ゲートキーパー」が提供する「コア・プラットフォームサービス」に対し適用される(1条2項)。

 「コア・プラットフォームサービス」は、①オンライン仲介サービス、②オンライン検索サービス、③オンラインソーシャルネットワーキングサービス、④ビデオ共有プラットフォームサービス、⑤番号不要の対人コミュニケーションサービス、⑥オペレーティングシステム、⑦クラウド・コンピューティングサービス、⑧①~⑦のサービス提供者が提供する広告サービス、に限定される(2条(2))。

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(むとう・まい)

ノートンローズフルブライト(Norton Rose Fulbright)法律事務所ブリュッセルオフィスのシニアアソシエート。東京大学文学部卒業後、民間企業での勤務を経て、弁護士登録。日本の法律事務所にて勤務後、在ベルギーCollege of EuropeにてMaster of European Law (LL.M)を取得。以後、外資系法律事務所のブリュッセルオフィスにて10年以上EU競争法案件を中心に取り扱う。第一東京弁護士会及びブリュッセル弁護士会所属。

ノートンローズフルブライト法律事務所(Norton Rose Fulbright LLP)
ノートンローズフルブライトは、世界有数のクライアント企業に対し、ビジネス法務に関する包括的なサービスを提供する。ヨーロッパ、アメリカ合衆国、カナダ、中南米、アジア、オーストラリア、アフリカ、中東の50か所を越える都市に3800名の各国弁護士資格保有者及びその他リーガルスタッフを擁する