◆SH3449◆2020年EU競争法総括 武藤まい(2021/01/18)

2020年EU競争法総括

Norton Rose Fulbright LLP

弁護士 武 藤 ま い

 

1 はじめに 

 新型コロナが猛威を振るった2020年。限定的ではあったが、その影響はEU競争法にまで及んだ。この点も踏まえ、2020年の欧州委員会によるEU競争法の執行と法政策を分野ごと(紙面の都合上、国家補助(State aid)は除く)に振り返ってみたい。

 

2 合併

 2020年3月、欧州委員会は、新型コロナに起因するスタッフの在宅勤務と利害関係者からの情報収集の困難さを理由に、届出を可能であれば遅らせるよう推奨した。そのため、2020年第二四半期には、例年と比し届出数が減少した。が、電子ファイルのみによる届出の受け入れを早々に開始するなどの対応が功を奏してか、その後持ち直し、最終的には1年間の届出件数は合計361と、2019年の合計382とそれほど変わらなかった。 

 審査についてみると、欧州委員会は、合併禁止決定は出さなかったものの、第2次(Phase II)審査を行ったGoogleによるFitbit買収事案、PeugeotとFiat Chryslerの合併事案、およびPKN OrlenとGrupa Lotosの合併事案をいずれも条件付きで承認したり、第1次(Phase I)審査においても、Alstom によるBombardier Transportationの買収事案を含めた13事案を条件付きで承認したりするなど、競争法上のリスクを伴った合併に対しては厳格な審査を維持した。欧州委員会は、破綻会社の抗弁(failing firm defence)についても、新型コロナ危機の中でもその厳格な基準を緩めないと公言し、その厳格さを貫いている。なお、本稿執筆時点で欧州委員会は7事案を第二次審査中である。

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(むとう・まい)

ノートンローズフルブライト (Norton Rose Fulbright)法律事務所ブリュッセルオフィスのシニアアソシエート。東京大学文学部卒業後、民間企業での勤務を経て、弁護士登録。日本の法律事務所にて勤務後、在ベルギーCollege of EuropeにてMaster of European Law (LL.M)を取得。以後、外資系法律事務所のブリュッセルオフィスにて10年以上EU競争法案件を中心に取り扱う。第一東京弁護士会及びブリュッセル弁護士会所属。

ノートンローズフルブライト法律事務所(Norton Rose Fulbright LLP)
ノートンローズフルブライトは、世界有数のクライアント企業に対し、ビジネス法務に関する包括的なサービスを提供する。ヨーロッパ、アメリカ合衆国、カナダ、中南米、アジア、オーストラリア、アフリカ、中東の50か所を越える都市に3800名の各国弁護士資格保有者及びその他リーガルスタッフを擁する




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