◆SH3451◆株式の上場に当たり提出された有価証券届出書の財務計算に関する書類に係る部分に虚偽記載があった場合において当該株式の発行者と元引受契約を締結した金融商品取引業者の金融商品取引法21条1項4号の損害賠償責任につき同条2項3号による免責が否定された事例(エフオーアイ事件・最三小判令和2年12月22日) 三宅英貴(2021/01/19)

株式の上場に当たり提出された有価証券届出書の財務計算に関する書類に係る部分に虚偽記載があった場合において当該株式の発行者と元引受契約を締結した金融商品取引業者の金融商品取引法21条1項4号の損害賠償責任につき同条2項3号による免責が否定された事例(エフオーアイ事件・最三小判令和2年12月22日)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 三 宅 英 貴

 

1 はじめに

 株式会社エフオーアイ(「FOI」)は、平成21年11月20日に東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場したが、証券取引等監視委員会の強制調査により、上場前からの架空売上の計上による大規模な粉飾決算が発覚して平成22年6月15日に上場廃止となった。粉飾を実行した経営者に対する刑事・民事責任が追及されたほか、いわゆる市場のゲートキーパーが粉飾を見逃したとして株主が元引受証券会社、東京証券取引所や日本取引所自主規制法人などに対して損害賠償を求める民事訴訟を提訴したが、本件は、元引受証券会社のうち主幹事証券会社の金融商品取引法(「金商法」)上の損害賠償責任について最高裁が判断を示した事例である。

 一審の東京地裁は、主幹事証券会社の損害賠償責任を認めたが、二審の東京高裁は逆に損害賠償責任を否定する判断を示したことから最高裁の判断が注目されていた。

 

2 元引受証券会社の金商法上の責任と免責事由

 金商法21条1項4号は、重要な事項の虚偽記載等がある有価証券届出書による募集・売出しに応じて有価証券を取得した投資者に対し、当該募集・売出しの元引受契約を締結した金融商品取引業者(「元引受業者」)の損害賠償責任を規定している。

 しかし、同条2項3号は、元引受業者の当該損害賠償責任について、「記載が虚偽であり又は欠けていることを知らず、かつ、第百九十三条の二第一項に規定する財務計算に関する書類に係る部分以外の部分については、相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかつたこと」を証明したときは責任を負わないとして免責事由を規定している。つまり、虚偽記載等があった有価証券届出書を「財務計算に関する書類」にかかる部分(「財務計算部分」)とそれ以外の部分に区別し、それぞれ異なる免責要件を規定する文言の免責事由を規定している。

 そして、最高裁は、新規上場時の募集・売出しに応じて株式を取得した投資者に対する主幹事証券会社の金商法21条1項4号に基づく損害賠償責任につき、同条2項3号による免責の可否の争点について判断を下した。

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(みやけ・ひでたか)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。1996年慶應義塾大学法学部卒業。2000年検事任官(52期)。2004年弁護士登録(第一東京弁護士会)。証券取引等監視委員会や大手監査法人のフォレンジック部門に所属した経験もあり、会計不正対応その他の危機管理を専門とする。

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