◆SH3436◆中国:外商投資安全審査弁法の公布(上) 川合正倫/鹿 はせる(2020/12/28)

中国:外商投資安全審査弁法の公布(上)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 川 合 正 倫
弁護士 鹿   はせる

 

 12月19日に、中国国家発展改革委員会及び商務部は連名で「外商投資安全審査弁法」(以下「安全審査弁法」という。)を公布し、2021年1月18日から施行することとされている。本法は23条からなる短いものであるが、外国企業による対中投資に幅広く適用されるものであり、日本企業にとっての影響も大きいと思われることから、以下その内容を概観する。

 

1. 制定の背景及び位置づけ

 安全審査弁法は、公布されたタイミングとの関係で米中摩擦との関連性が言及されているが、2019年3月に公布され、今年1月1日から施行された「外商投資法」の中でも言及されており、外商投資法の第4章「投資管理」(28条から35条まで)において、外国投資家による投資は、中国国内企業と共通する会社法等一般法令による規制に加え、以下の規制に服するものと定められている。

  1. ① 外国投資が可能な業種及び投資条件については、政府が公表するネガティブリストに従うこと(28条)
  2. ② 外国投資が企業結合の要件を満たす場合は、中国独禁法に従い企業結合届出を行うこと(33条)
  3. ③ 外国投資の経過等に関する情報については、外商投資情報報告制度に従って継続的に報告すること(34条)
  4. ④ 外国投資のうち、国家安全に影響を与える可能性があるものについては、政府が制定する外商投資安全審査制度に従って審査を受けること(35条)

 今回の安全審査弁法は、④にあたる外商投資安全審査制度の内容に該当するものであるが、下記2に記載する外商投資に対する安全審査については、2011年に施行された「外国投資者による国内企業の買収合併の安全審査制度の実施についての通知」(以下「安全審査通知」という。)が存在している。しかし、安全審査通知では、安全審査を行う対象を、外国投資家が中国国内の軍需企業等限定された産業を買収する場合に限定しており、外国投資者による中国国内企業持分を保有する外国企業の買収や(いわゆる外・外取引)、持分買収及び資産買収以外の形式による中国企業の支配権の取得(例えば、契約による支配権の取得)は審査対象外とされていた。しかし、今般公表された安全審査弁法は、審査対象が拡大しており、日本企業を含む外国投資家に与える影響が大きいと思われる。

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(かわい・まさのり)

長島・大野・常松法律事務所上海オフィス一般代表。2011年中国上海に赴任し、2012年から2014年9月まで中倫律師事務所上海オフィスに勤務。上海赴任前は、主にM&A、株主総会等のコーポレート業務に従事。上海においては、分野を問わず日系企業に関連する法律業務を広く取り扱っている。クライアントが真に求めているアドバイスを提供することが信条。

(ろく・はせる)

2006年東京大学法学部卒業。2008年東京大学法科大学院修了。2010年弁護士登録(第一東京弁護士会)。同年長島・大野・常松法律事務所入所。2017年コロンビア大学ロースクール卒業(LL.M.)。2018年から2019年まで中国大手法律事務所の中倫法律事務所(北京)に駐在し、2020年より長島・大野・常松法律事務所の東京オフィスに復帰。M&A等のコーポレート業務、競争法業務の他、在中日系企業の企業法務全般及び中国企業の対日投資に関する法務サポートを行なっている。

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