◆SH3424◆令和3年度与党税制改正大綱 佐藤修二(2020/12/18)

令和3年度与党税制改正大綱

岩田合同法律事務所

弁護士 佐 藤 修 二

 

 自民党・公明党は、12月10日、令和3年度税制改正大綱を公表した。税制改正は、毎年12月に与党が取りまとめるこの大綱に従って、改正作業が行われる。本稿では、このうち、企業法務において注目される、令和元年会社法改正によって新設された「株式交付」に関する税制改正について紹介する。

 株式交付とは、他の株式会社(株式交付子会社、Targetの意味でT社と呼ぶ。)を子会社とするために、株式会社(株式交付親会社、Purchaserの意味でP社と呼ぶ。)が、当該他の株式会社(T社)の株式を譲り受け、これに代えて、当該株式の譲渡人に対して、当該株式会社(P社)の株式を交付する組織再編行為である(会社法2条32号の2、774条の2以下)。イメージは末尾の図のとおりである。

 株式交付は、自社株式を対価とする買収(いわゆる株対価M&A)を可能とするものである。株対価M&Aによれば、買収者にとっては現金の支出がなく、また、対象会社の株主は、買収後の買収会社の株式を保有することになるので、買収によるシナジーを含め、買収後の買収会社及び対象会社の成長や業績向上からもたらされる利益を享受できるなど、現金による買収とは異なるメリットがある。

 令和元年会社法改正は、令和3年3月1日に施行される。ところが、現段階では、(合併、会社分割、株式交付・株式移転については、いわゆる組織再編税制において課税繰延措置が設けられているのとは異なり)株式交付については、何らの税制措置も講じられていない。そうすると、上記でいうT社株主がT社株式を手放し、代わりにP社株式を取得する際、課税の対象とすべき株式の交換取引があったものとして、T社株式とP社株式の時価評価額の差額(たとえば、T社株式の時価が100、P社株式の時価が120であれば、差額の20)につき、譲渡益課税がなされることになる。しかし、このような課税が起こるのであれば、株式交付の利用は実際にはほとんど行われないことになるであろう。そこで、株式交付に伴って生ずるT社株式とP社株式の交換について、課税繰延措置を設けることが期待され、経済産業省からもその旨の税制改正要望がなされていた。

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(さとう・しゅうじ)

岩田合同法律事務所弁護士。2000年弁護士登録。1997年東京大学法学部、2005年ハーバード・ロースクール(LL.M., Tax Concentration)各卒業。2005年Davis Polk & Wardwell LLP (NY)勤務。2011年~2014年東京国税不服審判所国税審判官。中里実他編著『国際租税訴訟の最前線』(共著、有斐閣、2010)等税務に関する著作多数。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

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1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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