◆SH3410◆不適切会計の類型とその影響について 山名淳一(2020/12/03)

不適切会計の類型とその影響について

岩田合同法律事務所

弁護士 山 名 淳 一

 

1 理研ビタミン株式会社特別調査委員会による2件の調査について

 理研ビタミン株式会社(以下「理研ビタミン」という。)は、今年、中国所在の子会社である青島福生食品における不適切会計の疑いについて、同社特別調査委員会による2件の調査を立て続けに行い、本年9月23日及び11月13日に、それぞれの調査に係る調査報告書を公表した(以下、本年9月23日付調査報告書を「第一次調査報告書」、同年11月13日付調査報告書を「第二次調査報告書」という。)。

 第一次調査報告書では、青島福生食品におけるエビ加工販売に係る架空取引の疑いについて調査がなされており、特別調査委員会は、青島福生食品のA社に対するエビ加工販売の取引について、「実在性を確認するには至らなかった」旨の検証結果をまとめている。

 第二次調査報告書では、青島福生食品における滞留在庫管理の不適切性について調査がなされており、特別調査委員会は、青島福生食品において、実際は評価減の計上が必要な古い在庫が滞留していたにもかかわらず、在庫管理が不適切であったため、明細書上は評価減の計上が不要な新しい在庫が保管されているかのように記録され、その結果、棚卸資産が過大に評価されていることが判明した旨報告している。

 これら2件の調査により判明した事案は、いずれも不適切会計につながるものであり、理研ビタミンは、これらの調査結果を受けて、過年度の有価証券報告書の訂正を行うに至った。以下では、不適切会計の類型についてまとめた上で、不適切会計の影響について簡単に解説する。

 

2 不適切会計の類型

 企業会計では、会社の財政状態を会計的に示す「資産」と「負債」や、会社の経営成績を会計的に示す「収益」と「費用」という指標により、会社の現在の状況が表示される。会社の会計上の姿を実態よりも良い状況に見せようとする場合、「資産」や「収益」を大きく見せる方法か、「負債」や「費用」を小さく見せるという方法の、いずれかの方法が取られることになる。 

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(やまな・じゅんいち)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2010年東京大学法学部卒業。2012年東京大学法科大学院修了。2013年12月検事任官。東京地方検察庁、大分地方検察庁、千葉地方検察庁勤務を経て、2019年4月「判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律」に基づき弁護士登録。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

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1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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