◆SH3303◆経産省、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を改訂 齋藤弘樹(2020/09/11)

経産省、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を改訂

岩田合同法律事務所

弁護士 齋 藤 弘 樹

 

 令和2年8月28日、経済産業省は「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(以下「準則」という。)を改訂した(以下、かかる改訂を「本改訂」という。)。

 準則は、電子商取引や情報財取引等に関する様々な法的問題点について、民法をはじめ、関係する法律がどのように適用されるのかを明らかにすることにより、取引当事者の予見可能性を高め、取引の円滑化に資することを目的として、平成14年3月に策定されたものであり、本改訂は平成29年の民法(債権関係)の改正(令和2年4月1日施行、以下「債権法改正」という。)を踏まえたものである。

 準則は「1章 電子商取引に関する論点」「2章 インターネット上の情報の掲示・利用等に関する論点」「3章 情報財の取引等に関する論点」「4章 国境を越えた取引等に関する論点(国際裁判管轄及び適用される法規に関して)」の4章から構成されており、本改訂における、債権法改正に伴う改訂箇所は以下のとおりである。

 以下、債権法改正の内容を振り返りつつ、これに伴う改訂箇所について解説する。

 

【債権法改正に伴う所要の見直し】
意思表示の効力発生時期関係
1-1-1 契約の成立時期
錯誤関係
1-1-2 消費者の操作ミスによる錯誤
1-1-3 ワンクリック請求と契約の履行義務
1-2-4(旧1-2-2) 価格誤表示と表意者の法的責任
1-8-2(旧1-7-2) 取引当事者間の法的関係
1-11-2(旧1-10-2) AIスピーカーに対して発注者が言い間違いをした場合
定型約款関係
1-2-1-1(新規) 利用規約の定型約款としての契約への組入れ
1-2-1-2(新規) 定型約款となる利用規約の開示
1-2-1-3(新規) 定型約款となる利用規約の契約締結後の変更
1-2-2(新規) 事業者間契約と定型約款
1-2-3(旧1-2-1) 定型約款の規定が適用されない利用規約の契約への組入れと契約締結後の規約変更
売主の担保責任関係
1-8-2(旧1-7-2) 取引当事者間の法的関係
1-8-4(旧1-7-4) 「ノークレーム・ノーリターン」特約の効力
3-5 ソフトウェアの契約不適合責任
原状回復義務関係
3-4(旧3-4-1) ライセンス契約終了時におけるユーザーが負う義務の内容
3-12-2 デジタルコンテンツ利用契約終了後のデジタルコンテンツの利用

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(さいとう・ひろき)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2010年東京大学法学部卒業。2012年東京大学法科大学院修了。2013年弁護士登録。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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