◆SH3291◆『自動運転と社会変革 法と保険』の概要―保険関係― 栁川鋭士(2020/09/02)

『自動運転と社会変革 法と保険』の概要

―保険関係―

明治大学法学部准教授・弁護士

栁 川 鋭 士

 

1 はじめに

 これまで自動運転に係る刑事責任、民事責任に関して、明治大学自動運転社会総合研究所監修 中山幸二ほか編『自動運転と社会変革 法と保険』(商事法務、2019)の概要について解説した。今回は、保険関係に関する本書の概要について解説する。

 

2 自動運転に向けた損害保険業界の対応の方向性

 本書の第II部第1章「自動運転に向けた損害保険業界の対応――自賠責保険・自動車保険に関する対応(大良美徳)」では、まず現状の自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)及び自賠責保険等の機能を説明する。自動車事故における民事責任に関する問題は民法709条以下で規定される一般不法行為の特別規定である自賠法で対処され、ここでは、自動車の所有者等の運行供用者であれば、自賠法3条ただし書に定める免責3要件を運行供用者側が立証できない限り、運行供用者は損害賠償責任を負担する。運行供用者の賠償能力の点については、自賠責保険の強制加入(契約締結の強制)によりカバーされる。もっとも、自賠責保険は対人賠償に限定され保険金額に限度額が設定されている。そのため、自賠責保険ではカバー仕切れない部分については、任意保険である自動車保険が重要となる。本章では、自動運転車における賠償責任についての動向について、自動運転に対する損保協会の取組みを紹介するとともに、国土交通省自動車局「自動運転における損害賠償責任に関する研究会 報告書」にて、レベル3やレベル4の自動運転システムの導入時期においては、「従来の運行供用者責任を維持しつつ、保険会社等による自動車メーカー等に対する求償権行使の実効性確保のための仕組みを検討」することが妥当とすることなど指摘されており、当該指摘も含めて各論点の概要が説明されている。また、自動運転に対する各保険会社の取組み(被害者救済特約)についても具体的に紹介している。

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(やながわ・えいじ)

明治大学法学部専任准教授・弁護士。明治大学自動運転社会総合研究所研究員。1997年同大学法学部卒業、2008年東京理科大学工学部第二部電気工学科卒業、2012年ジョージタウン大学ローセンター卒業(LL.M.)。2001年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2017年度経済産業省・国道交通省委託事業「高度な自動走行の社会実装に向けた研究開発・実証事業(自動走行の民事上の責任及び社会受容性に関する研究)」模擬裁判WG委員。

 


 

 

 

 

自動運転と社会変革――法と保険

明治大学自動運転社会総合研究所 監修 中山 幸二=中林 真理子=栁川 鋭士=柴山 将一 編

定価:3,300円 (本体3,000円+税)

ISBN:978-4-7857-2728-4