◆SH3157◆金融庁、投資運用業者等に対して賃料の支払いに関するテナントへの配慮を要請 柏木健佑(2020/05/22)

金融庁、投資運用業者等に対して賃料の支払いに関するテナントへの配慮を要請

岩田合同法律事務所

弁護士 柏 木 健 佑

 

1 金融庁による要請の背景

 金融庁は、令和2年5月8日、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた投資運用業者等に対する要請として、「賃料の支払いに係る事業者等への配慮について(要請)」に基づく要請(以下「本件要請」という。)を行った。

 新型コロナウイルス感染症の拡大が我が国の経済に甚大な影響を及ぼしつつあることは周知のとおりである。特に、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための不要不急の外出自粛要請や店舗・施設への休業要請を受けて、商業施設、飲食店舗、宿泊施設、遊興施設等を営むテナントに大きな影響が及んでいる。かかる事態を受けて、既に国土交通省からは、令和2年3月31日付で、「新型コロナウイルス感染症に係る対応について(依頼)」[1]が発出され、不動産賃貸事業者に対して、賃料の支払いが困難な事情があるテナントに対して賃料の支払い猶予等の柔軟な措置を検討するよう要請がなされていたところである。

 しかしながら、投資法人やファンド等が保有している物件については、賃料の支払い猶予や減免を行うに当たって別途の考慮が必要となる。すなわち、投資法人やファンド等が保有している物件は、投資法人やファンド等が投資運用業者に対して資産の運用を委託しているケースが多いところ、賃料の支払い猶予や減免の判断を行う立場にある投資運用業者は、投資法人やファンド等に対して投資を行う投資家に対して忠実義務や善管注意義務を負っており(金融商品取引法42条1項、2項)、賃料の支払い猶予や減免に応じることで投資家に損害が生じた場合には、当該義務違反の責任を問われる可能性がある。そのため、投資法人やファンド等が保有している物件については、賃料の支払い猶予や減免に応じることに慎重になる傾向があったものと思われる。

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(かしわぎ・けんすけ)

岩田合同法律事務所パートナー。2005年東京大学法学部卒業。2007年弁護士登録。ファイナンス関連業務を中心に多様な企業法務を取り扱う。主な著作・論文として、『CFOのための想定問答集』(共著 旬刊経理情報1344号 2013年)、『アブラハム・プライベートバンク事件などを踏まえた投資助言業務の分析』(共著 旬刊商事法務2019号 2013年)。

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1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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