◆SH3149◆企業経営とジェネラル・カウンセルの役割(5)「パネルディスカッション『ジェネラル・カウンセルのいま』」 牛島 信/三村まり子/吉田佳子/本間正浩(2020/05/19)

第20回弁護士業務改革シンポジウム 第1分科会
企業経営とジェネラル・カウンセルの役割(5・完)

ジェネラル・カウンセルのいま

2017年9月9日

弁護士 牛 島   信
グラクソ・スミスクライン 弁護士 三 村 まり子
新日鉄住金ソリューション 弁護士 吉 田 佳 子
 日清食品ホールディングス 弁護士 本 間 正 浩

 

【河井】 それでは、第5番目のセッションですが、パネルディスカッション「ジェネラル・カウンセルのいま」ということで始めさせていただきます

【本間】 パネルディスカッションのモデレーターを務めます本間でございます。

 まず、このパネルディスカッションの趣旨についてごく簡単に説明します。ジェネラル・カウンセルとはどういうものかというのは、概略的な話を私がいたしまして、それを踏まえた上で、特にアメリカの経験の深いラリー・ベイツさんに彼の思いを語ってもらいました。午後最初のセッションでは中崎さんからインタビューについてのフィードバックをいただいたということでございます。それを受けた上で、パネルディスカッションという形をとることで、「講義的でない」、「生々しい」というか、「生き生きとした」というか、「実はね」、みたいな話でなるべく赤裸々な姿をお示しできればということでディスカッションを企画いたしました。したがって、包括的な、あるいは体系的なお話をするということは想定しておりませんで、要はスナップショットというか、ジェネラル・カウンセルの活動している一つの側面を「わかりやすく」というか、「生々しく」お示しするということを目的にしております。

 ということで、まず最初に各パネリストの自己紹介からしたいと思います。時間も限られておりますので2、3分でお願いできればと思います。まず、第二東京弁護士会の牛島信さんからお願いしたいと思います。

【牛島】 牛島です。ジェネラル・カウンセルでない人間が最初に自己紹介するのもいかがなものかと思いますが、ご指名でございますからいたします。私は外部弁護士でございまして、もともと検事を2年やって、それからもう40年近く弁護士をやっております。アソシエイトの経験を6年やりまして、今、50人の弁護士がいる、総勢100人ぐらいの法律事務所を主宰いたしております。

 私の弁護士としての仕事はアソシエイトとしてでして、当時は準会員と申しましたが、そういう方のいる事務所におりました。そして、そのときもですが、その後もビジネスのための、あるいはビジネスにかかわる仕事をしてまいりまして、昔の時代の弁護士としては例外的にトップレベルへのアドバイスが多い仕事をしてきたと思います。他にも、コーポレート・ガバナンス・ネットワークというところの理事長をいたしております。ここはNPOで600人ぐらいの会員で、100人以上の社内取締役、社外監査役の方が参加していらっしゃるところでございます。私自身も社外役員を3、4社やらせていただいているほかに社団法人の監事を2つさせていただいております。これは本日の話題とは関係ないかもしれませんが、小説も書いたりしております。

 実は、ジェネラル・カウンセルとの関係といたしましては、超巨大企業、多国籍企業のジェネラル・カウンセルと大変親しくつき合う機会がございまして、その関係で子会社のジェネラル・カウンセルの方ももちろんよく存じ上げておりました。本国のジェネラル・カウンセルの方のやり方、そういう意味ではアメリカ風のやり方というものを承知しているつもりでございます。私自身、特に一番強い印象を受けたのは、もう既にお話がございましたが、デュアル・レポートのことでございます。子会社のジェネラル・カウンセルが子会社のトップに対して、あの人は私の首を切れないからといって、大変強い態度をとるといったことが印象に残っております。

 おそらく本間さんが私に声をかけてくださったのは、去年の10月ですが、ジェネラル・カウンセルのパネルディスカッションでIBAの関係からモデレーターをさせていただいたからだと思うのですが、そのときには10年前になかった職業で日本企業に弁護士が、ジェネラル・カウンセルとして多数いらしたので鮮明な印象を受けました。それから、私がそのときに強い印象を受けましたもう一つは、海外の組織づくりがジェネラル・カウンセルの仕事であるということ、これも強い感銘を受けまして、そしてさらに最近、著明な日本の某巨大企業のジェネラル・カウンセルが米国居住の米国弁護士だということにつきまして、なるほどそこまで来たかと思いました。以上でございます。

【本間】 それでは、吉田さん、お願いします。

【吉田】 吉田佳子でございます。私、第二東京弁護士会で39期でございます。もう弁護士になって30年になってしまって、あっという間だったなと思っているところでございます。最初5年ぐらいは法律事務所におりまして、ワーク・ライフ・バランスといいますか、家庭の事情で数年仕事を離れた時期がありまして、96年に仕事に復帰したのですが、それからずっと企業内でやっております。最初は日本オラクル株式会社におりまして、それから、午前中お話をされたラリーさんと出会いましてGEキャピタルの子会社に入れていただきました。その会社はもうGEを離れておりますが、そこで数年おりまして、その後、ジョンソン・エンド・ジョンソンに移りました。この3社はずっとアメリカに本社がある外資系ということで、外資系の子会社の中で法務、ジェネラル・カウンセルの下で働く法務のスタッフとはどうあるべきかということや、デュアル・レポートのあり方などということについて、いろいろなバリエーションがあるなというのを見ました。日本オラクルは当時は、どちらかというと日本のオペレーションを優先していいと。あまりアメリカからセンターコントロールのようなことはしないというオペレーション、今は違うようですが、当時はそうでした。GEはもうラリーさんがお話しされたので、ここは話す必要もないかと思いますが、日本社内での指揮系統のほかに法務部門としての指揮系統がございました。ジョンソン・エンド・ジョンソンは、もっと法務の指揮系統が強くて、日本のビジネスサイドには指揮系統を持たないというオペレーションをやっていて、それぞれに特徴のあるマネジメントを経験して、今は思うところあり、日本企業がいいなと。本音ベースで言うと、日本のことなのになぜかアメリカにこうしなさいと言われ、でも日本ではそれは要らないんですけど、というのがなかなかストレスになりまして、であればもう、私は日本の資格しか持っていませんので、日本の会社に入ろうかなと思って、今の新日鉄住金ソリューションズに5年前に入りまして、最初は法務知的財産部長だったのですが、2年前に執行役員にしていただいて、今、一応、今日この席に座らせていただく定義(執行役員も含め、役員である法務部門長)には当たっているのですけれども、当社は多分、ジェネラル・カウンセルを置いたという発想は経営陣は持っていなくて、法務部長を昇格させたぐらいにしか思っていないと思っていますが、一応、その定義には当たっているということなので、この席に座らせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

【本間】 それでは、三村さん、お願いします。

【三村】 三村と申します。よろしくお願いします。

 私は44期の弁護士です。インハウス・カウンセルになる前は、今の西村あさひ法律事務所に10年ほど在籍していました。その間、アメリカに行ったときに、アメリカのベンチャー企業で、スタートアップの企業を手伝ってほしいといわれたことがご縁で、企業の中に入ってヴァイス・プレジデント・アンド・ジェネラル・カウンセルとして40人ぐらいの会社で1年と少し仕事をしました。私がやめるころには120人ぐらいまでに育て上げまして、ビジネスを行うことが楽しいという気持ちを持って日本に帰ってまいりました。当時の西村総合法律事務所に戻ってしばらくしたころ、ヘッドハンターからお電話をいただきまして、インハウス・カウンセルに興味ないかと聞かれましたので、私は日本に工場を持って製造業をやっているところなら興味があると答えましたところ、現在のGEヘルスケア株式会社(当時のジーイー横河メディカル株式会社)を紹介していただき、私はそこでジェネラル・カウンセルとして2005年から就業することになりました。

 そこで5年ほど仕事をしたのですけれども、それから医薬品業界に移りまして、ノバルティス・ファーマ株式会社という医薬品会社に入りました。そこで働いている間に医薬品業界の中の戦後最大の不祥事と言われる問題が発覚し、そこで不祥事を解決していくという、大変ではありましたが、弁護士としては貴重な経験をさせていただきました。その後、2015年に今のグラクソ・スミスクライン株式会社という製薬企業に入りました。そこでまた日本の医薬業界の中でも最大級と言われるPL訴訟が始まりまして、どうも三村のいるところ問題あり、みたいに言われながらジェネラル・カウンセルとして良い経験をさせていただいています。

 今の会社では法務、コンプライアンスだけでなく、渉外、医療政策、患者支援などの仕事も担当させていただいていまして、多方面にわたる充実した日々を送らせていただいております。

 ありがとうございます。

【本間】 ありがとうございます。

 パネルディスカッションを始める前に、2点ほどちょっと申し上げたいことがあります。

今の自己紹介でお気づきになったとおり、今日のパネリストはお2人とも実はGEのOGです。私自身も実はそうであります。ある意味、ラリーズ・チルドレンみたいなところがありまして、現実の問題として、日本の企業内弁護士は、特にシニアの部分については、そのあり方について、やはりゼネラルエレクトリックという会社が、その法務部というのは、世界最強と謳われたこともある法務部ですけれども、それが決定的な影響を与えたというのは、これは事実であろうと思います。ただ、その分、ある意味バイアスがかかっている可能性もございますので、これがすべてかどうかという点については皆さんご自身でぜひお考えいただきたいと思います。私自身はこれがモデルだと思っております。あるいはここに座っていらっしゃる方もそう思っていると多分思うのですが、そうではないかもしれません。それはそれで一つのモデルですので、それを日本の企業において、あるいは皆さんご自身が、どうお考えになるかというのは皆さんご自身でご判断をいただきたいと思います。我々としては、今日は一つの姿を提供すると。それを生々しく提供するということを目的にしております。

 もう一つ、やや微妙な話になりますけれども、パネリストは2人とも女性であります。はっきり申し上げますが、これは偶然であります。真面目な話、ダイバーシティーであるとか、そういうことを全く考慮しないで選んだ結果がこういうことでございますので、それはそういうものとしてお考えください。女性の活躍等々、いろいろ言われますが、少なくとも今回のチームの選択に関する限り、これは偶然であります。そういう立場で実力があって引き受けてくださる方を探したらこうなったということでございますので、そこのところはぜひ踏まえていただきたいと思います。

 さて、いつまでも御託を並べていても仕方がないので中身に入りますけれども、今日の私のプレゼンテーション、それからベイツさん、それから中崎さんのプレゼンテーション、やはり一つキーになる言葉として、あるいは特色として、「経営陣の一員」であるというところが出たように思います。この辺は実は多くの弁護士の先生方、法律事務所の先生方とお話をしていて、やはりちょっとぴんと来ないというフィードバックをよく伺います。この点について、それぞれご経験を踏まえてどのように考えておられるのかというところをまずコメントいただくところから出発をしたいと思います。

 まず、経営陣の一員としてということでございますけれども、リスクをとるということを申し上げましたが、これについて、特に法律事務所の先生方にご理解をいただくという趣旨で、それとの比較においてジェネラル・カウンセルの仕事の中でリスクをとるというのはどういうことなのか、あるいは皆さんがどのような形でとっているのか、とらせているのか、あるいはとりにいこうと言っていいのか、仕方ありませんと言っていいのか、この辺について生々しい話を伺うところから出発したいと思います。

 三村さんからお願いします。

【三村】 私は今の立場は取締役ですので、経営陣の一端であることは間違いなく、したがって、弁護士であるかどうか、あるいは法務の責任者であるかどうかは別として、経営陣の一員であることは間違いないです。経営に携わっていくということは、もちろん会社の売上を上げ、会社を成長させるということが一つの役割ですので、常にビジネスポジティブに考えています。その中で私の役割は、会社がリスクを管理しながらどのように成長していくかということを考えていくことだと認識しています。したがって、違法な行為を行うことは絶対ノーですが、グレーゾーンについては、経営陣とリスク評価を行いながら、ビジネス判断を行っていきます。最初に法律と倫理みたいな話がありましたが、私はビジネス・デシジョンに加わる場合、必ず2つの帽子はかぶることにしています。1つは、法律判断としていいのか悪いのかの判断であり、それがノーならノーで終わりです。しかし、もう1つは経営者としての判断で、法律上ノーではない、すなわちグレーゾーンの場合に、それが倫理的に、あるいは経営上いいのか悪いのかということを別の観点から考えることにしていて、法的にはオーケーの範囲内だけれど、私の経営陣としての意見としてはこれはやめたほうがいいとか、これはやったほうがいいとかっていう意見を述べ、2つのものの見方を切り分けて会社の経営に参画するような形でやっています。

【本間】 同じ質問ですけれども、吉田さん。

【吉田】 経営陣の一角としてということで言うと、どこの会社でもそうだと思うのですが、年間の目標があって、その目標に向かって1年間、予算の達成に向けてビジネスをオペレートしていらっしゃると思うのですが、弊社でも1年間の計画があり、あと3年分の中期という計画があり、その中で何を追いかけていくかという方向性を年度の初めに固めて、それでいろいろな施策が動くわけなのですが、大体、私の目の前に来る、あるいは気づくものというのは、その方向性の中で考えると、何がしたいからこれが出てくるだろうというのがわりとわかる。なるほど、そういうことを狙っているからこういうのを編み出そうとしているのですねと。非常にビジネスパーソンはクリエーティブといいますか、いろいろなことを思いつく、非常に頭のやわらかい人たちなのですが、それにまずついていくには、その会社の方向性というのがわかっているという強みが一個あるというのと、であると、それを進めたいのだけれども、リーガル的にはどうなんでしょうかというところを法務の帽子で考えるということですので、羽交い締めにしてという話も確かにありましたが、弊社はわりと、新日鉄住金の子会社というのもあって、かためといいますか、善管注意義務を果たすんだということ、それを守らないといけないんだということについては厳しく言わなくてもみんなすごく気にしているところでありますので、法務の責任者である私がネガティブな意見を言ったものは、簡単にはゴーにはならないです。何でだめなのかというところをもちろんきちんと説明をし、理解をしていただいた上で変更するなり、やめるなりという判断になるのですが、簡単に乗り越えたりとか、無視したりということはまず起こらないです。すごくやんちゃなビジネスの人たちが仮に乗り越えようとしても、私が否定的な見解、ないしは躊躇があるようなコメントを述べますと、大体みんなとめるので、すごく説得される立場に私はなったりするわけですが、一応、流されたりはしないで、恫喝されても負けないで、この道が正しいのですというところは伝えるようにしています。

【本間】 今のお2人のコメントで若干ニュアンスが違うかなと思ったのは、やはり吉田さんはリーガル的な観点からビジネスを理解した上でリーガル的な観点からイエス、ノーを言うと。三村さんの場合は、二つの帽子をかぶって、リーガルはこうです、私のビジネス判断はこうですという形であるように聞こえました。そこで三村さんに伺いたいのですけれども、純粋なというか、ビジネス的にいい悪いというところまで、例えば三村さんの場合には踏み込んでものを言われているということで理解すればよろしいのでしょうか。

【三村】 はい。全くそのとおりで、自分ではビジネスパーソンのつもりでおりますので、むしろそちらのほうがジェネラル・カウンセルの仕事としては、メインだと思っています。ベースにリーガルがあって、私のメインの仕事はビジネス判断に加わっていくということだと思っています。

【本間】 吉田さんはいかがでしょうか。

【吉田】 別にすごく違うなという気はしていないのですけれども、経営の中にいるというか、経営会議に参加している中での私の立ち位置というか、期待されていることというのは、数字をつくりましょうという話をリードするというよりは、それが安心安全というか、大丈夫な方法なのですかということの確認なのかなと思っていて、前に数字をつくっていきましょうみたいな人ばかりで、アクセルを踏むばっかりの人だと車はちゃんと走らないので、ビジネスを車に例えるとですけど、うまく前に走らせるための心地よいブレーキになるというのも期待されている仕事なのではないかなと思っております。

 リスクって数字に置きかえて考えて、とるかとらないかって、よく経営の中では話されるかと思うのですけれども、それであれば正しい計算式かどうかは確実にはわからないのですが、合理的であると思われる計算式でとれる数字かどうか、リスクかどうかっていうのは、それは考えればいいと思うのですが、一点、私が思っているのは、多分皆さんもそうだと思いますが、可能性が小さくても刑事罰のリスクがあるものについては絶対とってはいけないというところは一つ持っています。

【本間】 ありがとうございます。

 その観点で、経営なりリスクをとるという観点で、法的な、あるいは広く言って倫理的なところについては、あんたの仕事だよねっていうことで引き受けているというのはあると思うのですけれども、例えばお2人のご経験の中で、何かビジネス的なことについて口を出そうとしたときに、黙っていろと言われるかどうかは別として、それはあなたの仕事じゃありませんと言われたような経験ってありませんか。

【三村】 むしろ日常の細かいことは、一々口出すな的なのはありますけれども、大きなところで言われたことは多分一度もないですね。

【吉田】 私も、口出すなと言われたことは一回もないです。逆に、口を出そうとして、参加して意見を全然自分の領域じゃないことで言うと、みんなおもしろがって聞いてくれる。法務の人が聞くとこういうふうに聞こえるのかと、そこが疑問になるのかという、すごく新鮮な目で見られて、逆にもっと言ってくれみたいなことを言われたことはあります。

【本間】 法務以外のことについて意見を言うかということで、私が感じることとしては、やはり法務部門、あるいはジェネラル・カウンセルといった私のポジションとかですと、会社全体の情報が集まってくるということがありまして、事業の方々はどうしても事業の縦で仕事をされている中で、いやいやもう少し社内全体を見たらとか。そういう点からコメントができたりしますよね。この点、法務部が社内全体を見ている、見えると。ある意味、事業部以上に見えるというのは非常に重要だと思うんですけれども、この辺が具体的にどういうことなのか、ちょっと経験のない聴衆の方々はよくわからないと思うので、どなたかちょっともう少し敷衍して言っていただくとありがたいです。

【三村】 法務は本当にいろいろなところからご相談を受けるんですよね。だから、あらゆる分野の人たちとやりとりがあるので、見えていない分野というのが、会社に何年かいると多分ほとんどなくなってきます。GEヘルスケアにいたときも、私たちは会社のグルー、つまりのり付け役になるべきだというような話をしていました。いろいろな部門をのりでくっつけられるのが法務なんだみたいな言い方をして、あえて部門間の調整をしていく役割をみずからみんなで買って出るみたいなことをやっていました。そういう意味で、法務は、全部署が見えている特殊な部門ではないかなと思います。

【吉田】 午前中に本間さんもお話をされていたのですけれども、調整役になるみたいな話かなというのと、どこの会社にも事業部門はそれぞれ自分のビジネスラインを見ているわけなのですが、何となく会社が大きくなると縦割りになっていて、ご自身の周りやご自身の専門分野には一生懸命なんだけど、ほかは見えないということになりがちなのです。上のほうの人でも、自分が所管しているものしか見えていなかったりということはあるのですが、法務部門はいろいろなところから相談もありますし、出かけていってお話を聞いたりもしますので、いろいろ見えています。いろいろな調整があるときに、どの部門の所管でもないのだけれどもやらなければいけないことというのが必ずあって、でも、何となくみんな縦割りになっていて、そこにボールが転がっていくみたいなのはよくあるので、それを拾って回ったりとか、横串を入れるということでしょうか、をやっていたりします。管理系は大体どこの部門でも、財務とか人事とかは横串なんですけれども、やっぱり自分の専門分野に特化しがちなので、法務ってわりと形がないというかアメーバというか、いろいろなものになり得るので、全体を俯瞰できるのかなと思っています。

【本間】 私自身の経験でも、違う事業部門が宣伝広報のプロモーションの方針が180度違っているとかって、これ、会社が一体どういうふうに見られるかわかっているのかみたいなことを言ったことがありますね。

 さて、牛島さん、そろそろたまっているものを吐き出していただかないといけないかなと思うのですが、外部弁護士から見た場合に、こういう企業内弁護士の役割、かなり法務から少しずれたというか、やや派生したところのものになると思うのですけれども、その辺特に、ガバナンスということも含めてだと思うのですが、先生が外部弁護士として企業の中を見ておられる観点からコメントをいただければと思います。

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(うしじま・しん)

牛島総合法律事務所(東京)代表パートナー。東京大学法学部卒。検事を経て弁護士。
日本生命保険相互会社 社外取締役、株式会社朝日工業社 社外監査役、特定非営利活動法人日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク 理事長、一般社団法人不動産証券化協会 監事、一般社団法人日本女子プロゴルフ協会 監事。

 

(みむら・まりこ)

1992年弁護士登録。現・西村あさひ法律事務所パートナーを経て2005年現・GEヘルスケア(株)ゼネラル・カウンセル(執行役員)に就任。2010年ノバルティスホールディングジャパン(株)取締役、2015年グラクソ・スミスクライン(株)取締役の後、2018年西村あさひ法律事務所オブカウンセル(現職)に復帰。

 

(よしだ けいこ)

1987年弁護士登録。5年間の法律事務所勤務を経て、2001年以降、日本オラクル、J&J等で企業内弁護士。2012年新日鉄ソリューションズ(株)法務・知的財産部長。2015年執行役員、2019年より(社名変更により)日鉄ソリューションズ(株)上席執行役員、法務・知的財産部長(現職)

 

(ほんま・まさひろ)

1989年弁護士登録。10年間の法律事務所勤務を経て1999年GEエジソン生命保険(株)執行役員、ゼネラル・カウンセルに就任。その後デル、新生銀行等を経て、2013年より日清食品ホールディングス(株)執行役員、チーフ・リーガル・オフィサー(現職)