◆SH3121◆会社法・金商法と会計・監査のクロスオーバー(3) 新型コロナウイルス感染症の影響と連結計算書類 弥永真生(2020/04/24)

会社法・金商法と会計・監査のクロスオーバー(3)
新型コロナウイルス感染症の影響と連結計算書類

筑波大学ビジネスサイエンス系(ビジネス科学研究科)教授

弥 永 真 生

 

 新型コロナウイルス感染症の流行のため、企業の決算業務が滞り、また、監査法人等による監査にも支障が出ていると報じられている。

 これに対して、4月15日に、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会は「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査及び株主総会の対応について」という声明を公表し、そこでは、「当初予定した時期に定時株主総会を開催し、続行(会社法317条)の決議を求める。当初の株主総会においては、取締役の選任等を決議するとともに、計算書類、監査報告等については、継続会において提供する旨の説明を行う。」そして、「企業及び監査法人においては、……安全確保に対する十分な配慮を行ったうえで決算業務、監査業務を遂行し、これらの業務が完了した後直ちに計算書類、監査報告等を株主に提供して株主による検討の機会を確保するとともに、当初の株主総会の後合理的な期間内に継続会を開催する。」という手続きをとる余地もあるという見解が示されている。

 たしかに、この手法には、定時株主総会における議決権行使の基準日を変更することを要しないという長所があるが、「当初の株主総会の後合理的な期間内に」という場合の合理的な期間は明確ではないことから、法的リスクがないわけではない。合理的な期間内かどうかは、決算や監査に必要な期間という意味ではなく、会社法124条2項かっこ書きの「基準日から三箇月以内に行使するものに限る」を実質的に潜脱することになるかどうかという観点から判断されるからである。また、そもそも、当初の株主総会を開催する時点で、継続会を予定することは、やはり会社法124条2項かっこ書きを潜脱する趣旨であると評価されても文句はいえない。

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(やなが・まさお)

明治大学政治経済学部経済学科及び東京大学法学部第1類[私法コース]卒業後、東京大学法学部助手、筑波大学社会科学系講師、同助教授を経て、筑波大学ビジネスサイエンス系(ビジネス科学研究科)教授。公認会計士第2次試験、情報処理技術者試験(特種・オンライン・1種・2種)、システム監査技術者試験合格。主著:『会計基準と法』、『「資本」の会計』(以上、中央経済社)、『監査人の外観的独立性』(商事法務)、『会計監査人の責任の限定』(有斐閣)、『会計監査人論』(同文舘出版)、『企業会計法と時価主義』(日本評論社)など。

 




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