◆SH3098◆シンガポール:COVID-19 暫定措置法の成立――契約上の義務不履行に係る暫定救済措置パートの解説 長谷川良和(2020/04/09)

シンガポール:COVID-19 暫定措置法の成立

――契約上の義務不履行に係る暫定救済措置パートの解説――


長島・大野・常松法律事務所

弁護士 長谷川 良 和

 

1 はじめに

 シンガポールにおいて、2020年4月7日、COVID-19 暫定措置法(COVID-19 (Temporary Measures) Act 2020)案が国会で可決された。同法は、所定の手続を経て近々成立することが見込まれる。そこで、本稿では、同法で取り扱う事項のうち、企業の関心が高いと考えられる対象契約上の義務不履行に係る暫定救済措置に関し、その概要を解説する。

 

2 対象契約上の義務不履行に係る暫定救済措置

(1)「対象契約」の射程

 COVID-19 暫定措置法は、暫定救済措置の対象となる契約に関し、現時点で、概要、以下の契約を「対象契約(Scheduled Contracts)」として規定している。なお、「対象契約」の射程については、所轄大臣がその内容を随時見直し可能となっている点、留意する必要がある。

  対象契約の類型
非居住用不動産の賃貸借又はライセンス(非排他的占有の許諾)契約
シンガポール所在の商業用又は工業用の不動産を担保とする銀行等による所定の事業者宛ローン契約
製造、生産その他事業目的で使用されるシンガポール所在の工場、機械又は固定資産を担保とする銀行等による所定の事業者宛ローン契約
製造、生産その他事業目的で使用されるシンガポール所在の工場、機械若しくは固定資産又は商業用車両を対象とする割賦販売契約又は条件付売買契約
工事契約又は供給契約
ツーリズム関連契約
イベント契約
上記①に従って供与されるパフォーマンスボンド
  1. ※ 上記②③でいう「所定の事業者」は、企業の所有的利益の30%以上をシンガポール市民又は永住者が有し、かつ当該企業が属するグループの直近事業年度における売上が1億シンガポールドル(約80億円。1シンガポールドル=80円での為替計算)以下のシンガポール企業等を意味する。
  2. ※ 上記⑤でいう「供給契約」は、建物建設業界支払保全法(Building and Construction Industry Security of Payment Act)に定める共有契約を意味する。

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(はせがわ・よしかず)

東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学研究科修了、Columbia University School of Law(LL.M.)卒業。三菱商事株式会社勤務、Allen & Gledhill LLP(シンガポール)出向を経て、2013年1月から長島・大野・常松法律事務所シンガポール・オフィス勤務。

シンガポールを拠点に、シンガポール、マレーシア、ミャンマーを含む東南アジアその他アジア地域において、進出、日常的な法務問題、M&A、ジョイント・ベンチャー、危機対応、エネルギー・インフラ案件等、日系企業が直面する法律問題を幅広くサポートしている。

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