◆SH3087◆事実上の「バーチャルオンリー型株主総会」を志向した「ハイブリッド出席型バーチャル株主総会」の開催のポイント 塚本英巨(2020/04/02)

事実上の「バーチャルオンリー型株主総会」を志向した
「ハイブリッド出席型バーチャル株主総会」の開催のポイント

アンダーソン・毛利・友常法律事務所

弁護士 塚 本 英 巨

 

1 はじめに

 新型コロナウイルスによる感染症が世界中で猛威を振るっており、日本もその例外でない。日本では、小池百合子・東京都知事が、2019年3月25日、都民に対し、同年3月28日・29日の週末における不要不急の外出自粛を要請したことにみられるとおり、政府により緊急事態宣言が出される瀬戸際にあるとされている。

 新型コロナウイルスによる感染については、その拡大を防ぐため、「換気の悪い密閉空間」(密閉)、「多数が集まる密集場所」(密集)及び「間近で会話や発声をする密接場面」(密接)という3つの「密」を避けることが求められている。

 そのような中、多くの会社は、これから6月の株主総会シーズンを迎える。株主総会では、一定数の人が集まるが、多くの人の密集をいかにして避けるかが重要な課題となっている。また、今後、緊急事態宣言が出されるなどした場合は、株主総会の会場として利用する予定であった施設が閉鎖されることも想定される。

 そこで、本稿では、新型コロナウイルスによる感染拡大という非常事態の中、株主総会において多くの人が密集することを避けるため、いわゆる「バーチャルオンリー型株主総会」(意味についは後述)に極力近い形で、すなわち、インターネットを通じて多数の一般株主がリモートで株主総会に出席することとする場合における論点について検討することとしたい。

 このような株主総会自体は、「ハイブリッド出席型バーチャル株主総会」(意味については後述)と言われるものである。その法的論点については、経済産業省が、2020年2月、「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」での議論(筆者も委員として議論に参加)に基づき、「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」(以下「実施ガイド」という。)を策定・公表している。本稿は、実施ガイドを踏まえたうえで、会社が、株主に対し、極力、株主総会の会場に来ないことを要請しながら、ハイブリッド出席型バーチャル株主総会を開催することに係る論点を検討するものである。

 ハイブリッド出席型バーチャル株主総会については、インターネットを通じて多数の一般株主がリモートで株主総会に出席することができるようにするため、一般に、会社における一定のシステム対応を要することが想定されている。これに対し、本稿では、大掛かりなシステム対応を基本的に要しない「Web会議」(インターネットを通じて、音声、映像、資料の共有を行い、また、テキストベースでのチャットを行うことができるオンラインツール)の方法をとることを想定する。

 また、以下では、書面又は電磁的方法による事前の議決権行使の結果により、株主総会の開始の前の時点で既に議案の成否が判明しているという一般的な会社を前提としている。

 なお、個々の論点で逐一触れることはしないが、新型コロナウイルスによる感染拡大という非常事態にあり、通常の株主総会と異なる取扱い(特に、株主に不利な取扱い)をする高度の必要性があるからといって株主総会について何をしても会社法上許容されることになるわけではない。例えば、会議体の体をなしていると言い難い場合には、株主総会の決議に瑕疵があるとされる可能性もある。そのため、状況によっては、株主総会の開催を延期することがむしろ合理的な対応となる場合があり得ることに留意する必要がある。

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(つかもと・ひでお)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2003年東京大学法学部卒業、2004年弁護士登録。2010年~2013年に法務省民事局へ出向し、平成26年会社法改正の企画・立案を担当。また、2016年~公益社団法人日本監査役協会ケース・スタディ委員会専門委員、2017年~2019年経済産業省コーポレート・ガバナンス・システム(CGS)研究会(第2期)委員、2019年~経済産業省新時代の株主総会プロセスの在り方研究会委員。主に、M&A及び株主提案・委任状勧誘を含む株主総会対策をはじめとする会社法関連業務を扱う。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所 http://www.amt-law.com/




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