◆SH3064◆中国:新型コロナウイルス肺炎に起因する中国従業員の個人情報の取扱いについて(後半) 鈴木章史(2020/03/22)

中国:新型コロナウイルス肺炎に起因する
中国従業員の個人情報の取扱いについて(後半)

 

従業員からの同意の取得の要否

 ネットワーク安全法によると、ネットワーク運営者は、個人情報の収集、使用にあたり、個人情報の主体たる従業員から同意を取得しなければならない(ネットワーク安全法第41条第1項)。また、2020年2月9日に中央ネットワーク安全及び情報化委員会弁公室が公布した個人情報に対する適切な保護及びビッグデータを利用した共同防衛管理業務のサポートについての通知第1条は、各地方各部門は、個人情報の保護業務を重視し、国務院衛生健康部門がネットワーク安全法、伝染病防治法、突発公共衛生事件応急条例に基づき授権した機構以外、いかなる事業者又は個人も伝染病防止、伝染病防止治療を理由として同意なしに個人情報を収集又は使用してはならない、と定めている。これら従業員からの同意の取得を必要とする規定・解釈に対して、労働契約法第 8 条に、使用者は労働者の労働契約と直接関連する基本的な情報を知る権利があり、労働者は誠実に説明しなければならないと規定されていることを根拠に、従業員の新型コロナウイルス肺炎に関連する個人情報は「労働契約と直接に関連する情報」に該当するとして、中国企業は従業員から個人情報を収集する際に必ずしも別途同意を取得する必要はないとする中国実務家の解釈もある。統一的な解釈はなく、公衆衛生上の緊急時であることも考慮すると同意を取得していないことを以て直ちに違法となるかは明確ではないが、中国における個人情報保護強化の情勢に鑑み、個人センシティブ情報の取得にあたっては従業員から同意を取得しておいた方が好ましいと考えられる。

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(すずき・あきふみ)

2005年中央大学法学部卒業。2007年慶應義塾大学法科大学院修了。2008年弁護士登録(第一東京弁護士会)。同年都内法律事務所入所。2015年北京大学法学院民商法学専攻修士課程修了。同年長島・大野・常松法律事務所入所。主に、日系企業の対中投資、中国における企業再編・撤退、危機管理・不祥事対応、中国企業の対日投資案件、その他一般企業法務を扱っている。

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

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