◆SH2982◆企業活力を生む経営管理システム―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―(第92回・完) 齋藤憲道(2020/01/27)

企業活力を生む経営管理システム

―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―(完)

同志社大学法学部
企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

 

3. 要件3 監査能力を有する者に、監査を委ねる

 企業経営に関して、業務執行や財務報告が一定の基準(企業規範、経営計画等)に照らして適正であるか否かを調査し、評価して、関係者に報告する機能を、一般に監査という。

 本項では、「高い生産性」と「高い自己浄化能力」を兼ね備えた企業の創造に貢献する監査の役割と、その監査を担う者に求められる資質について考察する。

(筆者の見方) 企業規範が社会規範に適合していることを評価する機能を「監査機能」に包含する考え方もあり得るが、本項では、既存の基準への適合性の評価に着目している。

(1) 監査に期待される役割     

 内部監査部門、内部通報受付窓口、監査役(会)、会計監査人等が行う各種の監査(広義の監査)には、次の4つの働きが求められる。

  1. 1 会社に、業務の基準にする適切なルール(規程・基準・規格等)が存在することを確認する。
    企業規範(社内ルール)は、法令、公的な基準・規格に適合していることが必要条件である。
  2. 2 会社の実務で上記1.のルールが守られていること、及び、会社の損失リスクの状況を確認する。
    「顕在する大きな損失リスク(ルール違反を含む)」を見過ごさず(法令・定款違反は全て)指摘する。
     会社の中で起きている実態を把握するための手段を確保する。
     (例) 往査、実査、組織的な情報収集体制、独自の情報収集網(内部通報、社外の情報提供者)
    「潜在する大きな損失リスク(ルール違反を含む)」を指摘する。
  3. 3「大きな損失リスク(ルール違反を含む)」が生じた真の原因を分析して、経営陣に指摘する。
  4. 4 是正措置・再発防止策を評価し、会社が行うべき改善策を提言する。
    「大きな損失リスク」に対する会社の措置・再発防止策を、客観的に評価する。(ルールの見直し・改善を含む。)
    改善すべき点があれば、それを指摘する。できれば、具体的な改善策を提言することが望まれる。 

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(さいとう・のりみち)

1971年東京大学法学部卒業。同年松下電器産業㈱に入社し、営業、経理、経営企画、法務の業務を担当。松下電子部品㈱経営企画室長、松下電器産業㈱法務本部法務部長、JVC・ケンウッド・ホールディングス㈱監査役等を経て、2009年パナソニック㈱を退職。損害保険ジャパン日本興亜㈱ 業務品質・コンプライアンス委員会委員長を歴任。

また、内閣府消費者委員会委員(2015年秋退任)、消費者安全調査委員会臨時委員(現)、製品事故判定第三者委員会合同会議議長(現。消費者庁と経済産業省合同)、国民生活センター紛争解決委員会委員(現)、経済産業省産業構造審議会臨時委員、神戸市公正職務審査会委員(現)




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