◆SH2946◆企業活力を生む経営管理システム―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―(第86回) 齋藤憲道(2019/12/23)

企業活力を生む経営管理システム

―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―

同志社大学法学部
企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

 

2. 要件2 「見守り役」の6者が連携して監査の効率と品質を高める

(2) 監査役(会)

① 責任と権限

 監査役(会)には大きな権限と責任があり、その監査の結果には一定の水準が期待される。取締役(会)としては、監査役(会)の監査結果を経営に活かすことが重要である。

  1. (注1)「監査役(会)」は「業務監査」及び「会計監査」を行い、事業報告等に係る監査報告と計算関係に係る監査報告を、株主等に対して行う。監査報告書には、監査の方法及びその内容と、監査結果を記載する。
  2. (注2) 業務監査を、適法性監査に限るか、妥当性監査を含むのかについては議論がある。
  3. (筆者の見方) 取締役の業務執行が著しく妥当性を欠く場合は善管注意義務・忠実義務違反の問題として適法性監査の対象になるのであり、近年、業法違反や契約違反が会社の信用を著しく傷つける不祥事が多発していることを考慮すると、監査役の業務範囲は広めに解するのが妥当であろう。狭く解すると、監査役の任務懈怠(善管注意義務違反)が問われることが懸念される。

 監査役は、次のように大きな責任を担い、これを果たすために強い権限が与えられている。

 1) 不正行為や法令・定款等の違反を阻止する責任と権限がある

  1.  ・ 取締役の職務の執行を監査し、不正行為(おそれがある場合を含む)・法令定款に違反する事実を認めた時は、遅滞なくその旨を取締役(取締役会設置会社の場合は、取締役会)に報告する義務を負う。
    必要があれば取締役会の招集を求め、又は、自ら招集できる。
  2. ・ 監査報告を作成する義務を負う。(定時株主総会の招集通知に添付される。)
    取締役の職務遂行に関し、不正行為・法令定款に違反する重大な事実があれば、それを報告する。
  3. ・ 取締役が会社の目的の範囲外の行為・法令定款に違反する行為(おそれがある場合を含む)をして会社に著しい損害が生じるおそれがあるときは、その取締役に対して「差止請求」できる。
    裁判所が仮処分で取締役に行為中止を命ずるときは、担保を立てさせない。
  4. ・ 会社と取締役の間の訴訟において、会社を代表する。(会社が取締役を提訴、又は、取締役が会社を提訴)

 2) 情報源にアクセスできる

  1. ・ 取締役から、会社に著しい損害を及ぼすおそれがある事実の報告を受ける。(取締役の報告義務)
  2. ・ 取締役・支配人・その他従業員等に対して事業の報告を求める権限を有する。
  3. ・ 会社(子会社を含む)の業務・財産の状況を調査する権限を有する。
  4. ・ 取締役会への出席義務を負い、意見を述べる。
  5. ・ 監査費用の請求権を有する。
  6. ・ 会計監査人から取締役の職務執行に関する不正行為・法令定款違反に関する報告を受ける。(会計監査人の報告義務)
  7. ・ 会計監査人に対して、その監査に関する報告を求める権限を有する。

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(さいとう・のりみち)

1971年東京大学法学部卒業。同年松下電器産業㈱に入社し、営業、経理、経営企画、法務の業務を担当。松下電子部品㈱経営企画室長、松下電器産業㈱法務本部法務部長、JVC・ケンウッド・ホールディングス㈱監査役等を経て、2009年パナソニック㈱を退職。損害保険ジャパン日本興亜㈱ 業務品質・コンプライアンス委員会委員長を歴任。

また、内閣府消費者委員会委員(2015年秋退任)、消費者安全調査委員会臨時委員(現)、製品事故判定第三者委員会合同会議議長(現。消費者庁と経済産業省合同)、国民生活センター紛争解決委員会委員(現)、経済産業省産業構造審議会臨時委員、神戸市公正職務審査会委員(現)

 




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