◆SH2929◆ベトナム:ベトナムの裁判制度及び判例の紹介(2) 澤山啓伍/小谷磨衣(2019/12/11)

ベトナム:ベトナムの裁判制度及び判例の紹介(2)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 澤 山 啓 伍

弁護士 小 谷 磨 衣

 

(承前)

2.判例の制定・公布

 ベトナム国内裁判においては、審理の長期化等に加え、過去の裁判例が先例として参照されないために、裁判所の判断が安定せず予測可能性が低いことが課題と考えられていた。

 最高人民裁判所は、2015年10月に、最高人民裁判所裁判官評議会の「判例の制定、公布及び適用の手続に関する議決」(03/2015/NQ-HDTP)を公布した。これは、裁判例のうち、パブリックコメント手続などを経て最高人民裁判所裁判官評議会が制定し、最高人民裁判所長官が公布した「判例」について、裁判官は、①同様の事実、同様の法的事件に対して同様の解決を行うこと、②「判例」を適用する場合も、しない場合も、その理由を判決上に示すこと、③「判例」そのものが不適切であると判断した場合には、最高人民裁判所裁判官評議会に対して廃止を提案すること、などを定めている。このような意味での先例拘束力が認められる判例の制定基準は同議決2条に下記のように定められており、ここに示されているとおり、先例的価値を有し、裁判所による法の統一的適用に資するといえる裁判例が判例として制定されることが予定されている。

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(さわやま・けいご)

2004年 東京大学法学部卒業。 2005年 弁護士登録(第一東京弁護士会)。 2011年 Harvard Law School卒業(LL.M.)。 2011年~2014年3月 アレンズ法律事務所ハノイオフィスに出向。 2014年5月~2015年3月 長島・大野・常松法律事務所 シンガポール・オフィス勤務 2015年4月~ 長島・大野・常松法律事務所ハノイ・オフィス代表。

現在はベトナム・ハノイを拠点とし、ベトナム・フィリピンを中心とする東南アジア各国への日系企業の事業進出や現地企業の買収、既進出企業の現地でのオペレーションに伴う法務アドバイスを行っている。

 

(こたに・まい)

2017年に長島・大野・常松法律事務所に入所後、本年10月より当事務所ハノイオフィスでの勤務を経験。2020年に当事務所東京オフィスに帰任予定。民事訴訟、国際仲裁を中心とする紛争解決分野の案件に従事。

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

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