◆SH2926◆ベトナム:ベトナムの裁判制度及び判例の紹介(1) 澤山啓伍/小谷磨衣(2019/12/10)

ベトナム:ベトナムの裁判制度及び判例の紹介(1)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 澤 山 啓 伍

弁護士 小 谷 磨 衣

 

 ベトナムで事業を行う日系企業が紛争に巻き込まれる場合、当事者の話合いによる解決の他には、ベトナム国内裁判、ベトナム国内仲裁・調停、ベトナム国外の裁判の確定判決の執行、仲裁判断の執行等の紛争解決手段が考えられる。本稿では(1)~(3)に分けて、ベトナム国内の裁判制度、特に、近年導入された判例制度について概観し、判例制度の下で制定、公布された判例の一例をご紹介する。

 

1.ベトナムの裁判制度

 社会主義国家であるベトナムでは、国会が国家の最高権力機関であり、憲法、法律及び国会常務委員会令の解釈権は国会常務委員会の権限とされ、裁判所は法の適用を担うとされている。

 裁判制度としては二審制を採っているが、確定判決に重大な法律違反が発見された場合には監督審によって判決を破棄する制度が設けられている。当事者は、控訴審判決に異議を申し立てる権限を有さないが、当該権限を有する最高人民裁判所の長官らに対して異議を申し立てる根拠があることを書面で通知することはできる。異議の申立ては、裁判所の判決が法的効力を有した日から3年以内に行うことができ、また、判決が第三者の権利や国の利益を侵害する場合といった一定の場合であれば、申立て期限はさらに2年間延長できる(民事訴訟法第334条)。そのため、当事者が判決の破棄を望まない場合でも、理論的には数年の間判決が破棄されるおそれが残る。第一審の審理機関は各法が定める事件の種類に応じて県級人民裁判所又は省級人民裁判所となる。審理機関の関係は以下のとおりである。

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(さわやま・けいご)

2004年 東京大学法学部卒業。 2005年 弁護士登録(第一東京弁護士会)。 2011年 Harvard Law School卒業(LL.M.)。 2011年~2014年3月 アレンズ法律事務所ハノイオフィスに出向。 2014年5月~2015年3月 長島・大野・常松法律事務所 シンガポール・オフィス勤務 2015年4月~ 長島・大野・常松法律事務所ハノイ・オフィス代表。

現在はベトナム・ハノイを拠点とし、ベトナム・フィリピンを中心とする東南アジア各国への日系企業の事業進出や現地企業の買収、既進出企業の現地でのオペレーションに伴う法務アドバイスを行っている。

 

(こたに・まい)

2017年に長島・大野・常松法律事務所に入所後、本年10月より当事務所ハノイオフィスでの勤務を経験。2020年に当事務所東京オフィスに帰任予定。民事訴訟、国際仲裁を中心とする紛争解決分野の案件に従事。

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

長島・大野・常松法律事務所は、弁護士約400名が所属する日本有数の総合法律事務所です。企業法務におけるあらゆる分野に対応できるワンストップファームとして、国内案件及び国際案件の双方に豊富な経験と実績を有しています。

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