◆SH2884◆企業におけるフリーランスとの契約(上) 佐藤大和(2019/11/13)

企業におけるフリーランスとの契約(上)

レイ法律事務所

弁護士 佐 藤 大 和

 

1 はじめに

 2017年はフリーランス元年といわれ、現在、企業における個人事業主であるフリーランスの需要は高まっており、フリーランスと業務委託契約等を締結して仕事をすることが多くなっている。今後もインターネット環境の整備や働き方改革の影響もあり、フリーランスの需要は日増しに高まっていくと思われる。それと同時にフリーランスに関する法的問題も増え、フリーランスの権利保護が社会問題になっている。

 フリーランスは、上述のとおり個人事業主であり、当然ながら労働者ではない。そのため、基本的には労働法令の適用はなく、適用されるのは、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律や下請代金支払遅延等防止法などの経済法である。2018年2月15日には、公正取引委員会は、「人材と競争政策に関する検討会報告書」のなかで、フリーランス、スポーツ選手や芸能人等の人材の獲得をめぐる競争に対する独占禁止法の適用関係及び適用の考え方を公表した。

 ところで、すべての個人事業主について労働法令が適用されないわけではない。たとえば、野球選手は、所得税法上では「事業所得者」と扱われ、労働基準法上は「労働者」ではないとの理解が一般的であるが、労働組合法上は「労働者」と認められている。また、契約上は、個人事業主とされていても、裁判において、実際の活動実態など客観的な事情から、労働者と認定されることが少なくない。

 そして、労働者(労働基準法および労働契約法上の労働者。以下ではこの意味で用いる。)と認定された場合、労働法令が適用されるだけではなく、社会保険等も適用されうる。つまり、労働者と認定されたフリーランスから最低賃金法に満たない賃金や未払いの残業代を請求されるだけではなく、社会保険料も請求される可能性があり、労働者と認定された場合の企業側のリスクは決して低くはない。

 もっとも、一言でフリーランスといっても仕事内容は様々である。本稿では、裁判例等を踏まえて、主として知的財産を生み出すフリーランスに注目し、フリーランスがどのような場合に労働者と認定されるかについて、契約書における注意点に触れながら解説する。

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(さとう・やまと)

レイ法律事務所 弁護士(代表)。2009年司法試験合格。2011年弁護士登録(東京弁護士会)。芸能人法務の先駆者として、多くの芸能人・アーティスト・YouTuber・スポーツ選手案件を手掛け、芸能人やフリーランスの権利保護や企業の過重労働・不祥事問題等に取り組む。寄稿・著作多数。
・芸能人の権利を守る「日本エンターテイナーライツ協会」共同代表理事
・厚生労働省「過重労働解消のためのセミナー事業」委員
・厚生労働省「職場におけるハラスメント被害者等に対する相談対応マニュアル検討委員会」委員 等

レイ法律事務所 https://rei-law.com/

<事務所概要>
エンターテインメント法務、芸能人・アーティスト法務、スポーツ法、メディア法務、学校法務、LGBT法務、フリーランス法務、企業のハラスメント・過重労働対応などの各分野に精通し、事務所として法教育に力を入れつつ、各弁護士がメディア等に出演しながらオピニオンリーダーとして活躍し、新時代の法的問題を切り拓いている法律事務所。




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