◆SH2872◆企業活力を生む経営管理システム―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―(第73回) 齋藤憲道(2019/11/07)

企業活力を生む経営管理システム

―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―

同志社大学法学部
企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

 

1.「高い生産性」を備えるための要件

(2) 商品を生産・販売して購入者に届けるまで一貫管理して、生産性を高める 

 企業が保有する経営資源を最も有効に用いるために、生産・販売・在庫の一貫管理、トレーサビリティ管理、サプライチェーン・マネジメント、企業グループ全体の製品別収支管理等を行う。

 この管理は、自社だけでなく、資本関係のない社外の取引先(調達先、販売先、委託先、提携先等。いずれも、1次だけでなく、可能な範囲で2次以降の取引先を含む。)を含めて、目的を実現するのに必要な情報を集めて行う。

 このため、独占禁止法上の問題(不公正な取引方法等)が生じないように留意するとともに、経営情報(営業秘密、個人情報等)のセキュリティを十分に確保する必要がある。

  1. (注) 取引に係る情報の活用
  2.    企業では、取引先の経営実績評価(技術力、品質力、価格競争力、納期遵守力、生産変動対応力等)、及び、取引を開始した理由・取引を停止した理由等をデータにして、発注の優先順位付けや新規取引先の選定等に活用している。
  3.    一方、部品メーカー側では、納入先との取引実績を可能な範囲(守秘義務を遵守する)でマッチング・サイトに登録し、新規顧客を開拓するビジネスも行われている。

1) 生産・販売・在庫の一貫管理

 生産(部品・材料・原料の発注・仕入・在庫、加工・組立・ソフトウェア制作の完成、完成品の調達、完成品倉庫への納入)・販売(顧客からの受注、出荷、顧客への納入)・在庫(流通段階の在庫を含む)の一貫管理は、資金を効果的に運用するのに有効である。

 生産段階では、機械の稼働状況・作業員の出勤状況・製造ライン別の歩留り等を把握して生産計画・材料発注に反映し、製品の特性・安全性に係る最終検査に合格した製品だけを完成品倉庫に納入する。

 販売段階では、商品の供給力(在庫、生産能力等)を考慮して顧客からの引合い(品番、数量、納期)に対応する。

 在庫管理は、流通段階(資本関係がない販売代理店等、自動車・船舶・航空機等による輸送中、第三者の倉庫保管、通関・検疫手続中を含む)を含めて行うと、顧客への納入日時を詳細に特定して顧客満足度を上げるとともに、A代理店の商品在庫をB代理店の来客に引渡す等して売り損じを最小にすることができる。

 材料・部品・仕掛品・完成品(自社及び流通段階)を、どの段階でどれだけ保有するのかを決めることは、企業の必要資金量に直結する重要事項である。

 以上の管理では、定量的な数値情報が多く取り扱われるが、近年、ICTの進展によって大量の電子情報・データを高速に処理・伝達することが可能になり、様々な管理手法が開発されている。

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(さいとう・のりみち)

1971年東京大学法学部卒業。同年松下電器産業㈱に入社し、営業、経理、経営企画、法務の業務を担当。松下電子部品㈱経営企画室長、松下電器産業㈱法務本部法務部長、JVC・ケンウッド・ホールディングス㈱監査役等を経て、2009年パナソニック㈱を退職。損害保険ジャパン日本興亜㈱ 業務品質・コンプライアンス委員会委員長を歴任。

また、内閣府消費者委員会委員(2015年秋退任)、消費者安全調査委員会臨時委員(現)、製品事故判定第三者委員会合同会議議長(現。消費者庁と経済産業省合同)、国民生活センター紛争解決委員会委員(現)、経済産業省産業構造審議会臨時委員、神戸市公正職務審査会委員(現)




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