◆SH3142◆企業経営とジェネラル・カウンセルの役割(2)「ジェネラル・カウンセルとは何か─米国での経験─」 本間正浩(2020/05/14)

第20回弁護士業務改革シンポジウム 第1分科会
企業経営とジェネラル・カウンセルの役割

「ジェネラル・カウンセルとは何か─米国での経験─」

2017年9月9日

日清食品ホールディングス
ジェネラルカウンセル 本 間 正 浩

 

【河井】 ありがとうございます。

 それでは、基調報告「ジェネラル・カウンセルとは何か―米国での経験―」を、東京弁護士会の本間正浩弁護士から行います。

【本間】 本間でございます。東京弁護士会に所属しておりまして、司法修習は41期になります。私に与えられたテーマは「ジェネラル・カウンセルとは何か」ということで、私のほうでは概論の話をして、その後、それから続く2つの基調報告、それからパネルディスカッションで具体的にジェネラル・カウンセルとはどんなものかといったことを生々しく感じていただくという形で進めたいと思っております。

 私が書いた論稿が皆さんに配布されていますので、なるべく重ならないような形で説明をしたいと思います。

 ジェネラル・カウンセルとは何かということなのですけれども、これは米国で歴史的に成立し、発展してきたものです。論理が先行して作られたものではないので、なかなかこういうものだと言いにくいところはあるのですけれども、一口で言うと、企業における法務の最高責任者であり、かつ役員である弁護士ということになります。

 資料をひもとくと、大体、米国で南北戦争が終わったときぐらいから、大きな鉄道会社等々がそういうものを採用し始めたということが記録としてありますので、150年くらいの歴史を持った制度であります。

 今、申し上げたファクターをもう少し分析すると、法務の統括責任者ではあるが、ただし単なる「法務部長」ではない。それから、経験を積んだプロフェッショナルである弁護士である。ただし、「顧問弁護士」ではない。時々、日本の新聞で米国等々の報道において企業の「法律顧問」という言葉を使っている場合がありますけれども、ほとんどの場合、ジェネラル・カウンセルを指しています。ですから、法律顧問といっても外部弁護士ではなくて、その企業の法務のトップというふうにご理解をいただければと思います。それから重要なのは、会社役員であって経営陣の一員であるということでございます。これも少し敷衍したいと思います。

 まず、法務の総括責任者であるということで、法務部門を率いて会社の法務機能の管理・運営を行う。これは一方でリスクを減らすということでもありますし、あるいは法務的に利益を拡大させるための機会を発展させる、いろいろな法務的な方法をもって企業事業をうまくやれるようにする、という役目があるわけでございますけれども、こういうことをするための仕組みを作って管理する。そういう意味では管理者、マネジャーでございまして、法律解釈だけが仕事ではないということです。法務部内部ではスタッフの採用、能力開発、キャリア、それから法律事務所の管理――これは後で戻ってくる時間があると思いますが――、これらを運営するための仕組み、書籍を買ったり、コンピュータ・システムを入れたりといったことを考えなければいけない。なかんずく頭が痛いのは、いわゆる人と金であります。どういう人間を法務部に迎え入れ、どういうふうにこれを育てていくのか、辞められないためにはどうすればいいのか。もう一つはお金で、常に予算というのは限りがありますので、限られた予算をどう使うのかということでございます。そう言ってしまうとほとんど弁護士の仕事ではないということになってしまうかもしれませんが、そういう仕事です。

 それから、一方でプロフェッショナルである弁護士だということは常識であります。アメリカでは、ほとんどの場合、法律事務所での相当期間の経験を有して、大企業であればパートナークラスから横滑りするか、あるいはパートナークラスから次席のポジションに中途採用されて、そこからジェネラル・カウンセルに上がるというのが普通であります。少なくとも私の知る限り、アメリカの大企業で法律事務所の経験がないジェネラル・カウンセルというのはほとんどいません。加えて、元裁判官とか元検察官、行政機関の経験を積んだ人間も珍しくない。行政機関といっても現場の下級官僚ではなくて、かなりのポジション、局長とかそういうポジションにいた人がジェネラル・カウンセルになるというのは珍しくないということで、法律家としても非常にシニアな人々であります。

 それから、もう一つ、これが肝で、パネルディスカッションでちょっと強調したいと思っているところでございますが、弁護士でございますので、弁護士としての行動規範あるいは倫理の拘束のもとにあるということで、法務の統括者であり、かつプロフェッショナルである弁護士であるということであります。

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(ほんま・まさひろ)

1989年弁護士登録。10年間の法律事務所勤務を経て1999年GEエジソン生命保険(株)執行役員、ゼネラル・カウンセルに就任。その後デル、新生銀行等を経て、2013年より日清食品ホールディングス(株)執行役員、チーフ・リーガル・オフィサー(現職)




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