◆SH2839◆国際シンポジウム:テクノロジーの進化とリーガルイノベーション「第2部 テクノロジーの進化に対する工学×経営学×法学のアプローチ②」(2019/10/23)

国際シンポジウム:テクノロジーの進化とリーガルイノベーション
第2部 テクノロジーの進化に対する工学×経営学×法学のアプローチ②

パネリスト

ケンブリッジ大学法学部教授 Simon Deakin

ケンブリッジ大学法学部教授 Felix Steffek

学習院大学法学部教授 小塚荘一郎

産業技術総合研究所人間拡張研究センター生活機能ロボティックス研究チーム主任研究員 梶谷 勇

一橋大学大学院経営管理研究科准教授 野間幹晴
 

ファシリテーター

一橋大学大学院法学研究科教授 角田美穂子

電気通信大学大学院情報理工学研究科准教授 工藤俊亮

株式会社レア共同代表 大本 綾

 

 

  1. ● このシンポジウムの第1部および第3部の講演については、NBL(1150号1153号1155号)に掲載された「国際シンポジウム テクノロジーの進化とリーガルイノベーション」をご覧ください。

 

第2部 テクノロジーの進化に対する工学×経営学×法学のアプローチ②

 ドイツ・EUではどうか?

Steffek:
 ありがとうございます。私も喜んでドイツの視点から少しお話をしてみたいと思います。そして、まず最初にレギュラトリー・サンドボックスの話、ドイツ、EUでの状況についてコメントをしたいと思います。そしてまた、ヘルスケアの分野においてロボットがどのように使われているかという話をします。
 ドイツ、EUレベルでは、現時点では、レギュラトリー・サンドボックスは、金融の分野にはまだありません。特にドイツの場合、また他のEU諸国にも言えることだとは思うのですが、状況を見ていると他のやり方で新しい技術やその他の手法を使おうと、もしくは促進しようとしているように思えます。「国が」新しい技術に貢献できるか、使用の普及に貢献できるかという問題もあると思います。一般的には、民間のアクター、例えばイノベーターがイノベーションを牽引すると考えられていますが、国も一役買える場面があるのではないかと思います。国のサービスとの接続性を担保するという点においてです。
 例えば、技術イノベーションがこの会社法の領域であったとします。そして、革新的な商品のイノベーターが株式の譲渡をしようとしたら――? それをするには、旧来型の株式譲渡の手続を履む必要があるわけです。というのも、株主名簿に革新的なテクノロジーをダイレクトに接続することを認めている国はあまりないからです。これは不動産登記についても同じことが当てはまります。個人的には、国としてはほかにもイノベーションを促進する方法はあり、受け身ではなくて能動的に考えて、国がそういったことをするには何ができるのか、特に福祉の促進について何ができるかを考えていくべきだと思います。
 また、先にDeakin先生が指摘された金融も大きな役割を果たすことになるでしょう。私はOECDでの仕事を通して様々な国を訪れましたが、中小企業の金融へのアクセスの問題が金融サービスのイノベーションを妨げている例にしばしば出くわします。ということは、これまでの伝統的なビジネスのやり方、例えば現代的な金融ストラクチャーを国が許可するといった方法で、国がイノベーションを継続させることも可能ではないでしょうか。従業員の自己株式オプション取得を困難にしている国もあります。
 従来型のメカニズムでもテクノロジーのイノベーションを大いに促進させる機能をもつこともあります。ヘルスケアはその例だと思います。先ほども出ましたが、共通項というのもあると思います。倫理的ガイドラインを導入する時にもあるように、人間がその中心にあるべきです。イノベーションの中心には人間があるべきで、テクノロジーの側面からみても、法律の面からみても、皆、それぞれが生活を良くするという点において役割を果たしたいと思っているわけです。
 次に、ヘルスケア分野のロボットについてです。ドイツの場合、ドイツでも研究されているのですが、お年寄りの人々に、ロボットに何をして欲しいかと聞いていくような調査があります。お年寄りのケアについて「あなたがロボットに望むことはありますか」とお年寄りに聞いてみると、驚くべきことに、ロボットによる支援についてお年寄りがかなりオープンであったりします。年寄りだからテクノロジーが苦手なのではないかと思われるかも知れませんが、ヘルスケアの分野において、またお年寄りのご家庭にもすでにテクノロジーは存在しています。また、ひと言にケアと言っても、人間的な面とテクノロジーの面があると思います。例えば、心の安寧のためにロボットを使うという方法もあるでしょう。いずれにしても、それぞれの国のそれぞれの人々のニーズをつかんでいく必要があると思います。
 ヘルスケア分野におけるテクノロジーに関する認識は、日独の間でも違うでしょうし、ドイツ側の方が、例えば感情ケアということに関しては日本よりも積極的ではないかも知れません。いずれにしても、ロボットに関しては意外なほどにオープンであるという場合があります。
 それから、私からの最後の発言としては、共通のゴールがテクノロジーと法律の間に見いだせるかどうか、それが非常に大きな問題ではないかと思います。

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