◆SH2829◆企業活力を生む経営管理システム―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―(第68回) 齋藤憲道(2019/10/17)

企業活力を生む経営管理システム

―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―

同志社大学法学部
企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

 

3. 情報の取り扱い基準の共有

(4) 社会への情報発信

②「危険」を知らせる情報の発信

 特定の事業が原因になって、消費者や近隣住民等に被害を及ぼす危険が生じていること(又は、その可能性があること)を認識した企業とその関係行政機関等は、被害を受ける可能性がある者や関係者に危険情報を伝達し、危険回避行動をとるように促して、被害を最小にする。

 この情報提供には、危険情報を掌握している企業・行政機関等が関係者に向けて積極的に発信して注意喚起するリコール等の方法と、行政機関が法令に基づいて収集・蓄積した情報へのアクセス権限を、一定の対象者に付与する方法がある。

 いずれの方法も、取得者が容易に理解して正しく判断できる情報を、適切な方法で提供することが重要である。

 生命・身体に被害が生じる可能性があることを関係者に周知すべきことが法令で義務付けられている場合に、その情報を隠蔽・改竄等する行為に対しては、刑事罰が設けられている。

○ リスク・コミュニケーション

  企業が、平時から、消費者・被害を受ける立場の者・取引先・地域住民・株主・行政部門・専門家その他の関係者との間で、事業リスクに関する正確な情報を共有していると、問題発生時に生じる摩擦と混乱が少なくなり、関係者が比較的冷静かつ迅速に問題に対応することが期待される。

 万一、生命・身体に関わる事故が発生した場合は、その直後に及び適切な段階で、企業が把握している最新の情報(事実関係、分析結果、評価、今後の可能性等)を関係者に平易に説明することが求められる。

 その説明の中に、消費者・近隣住民等に勧める危険回避行為、企業が講じる再発防止策(暫定措置、恒久措置)、社内の関係者の処分等を含めると、説明を聞いた者が事故の全体像を把握できるので、無用な不安や混乱が少なくなる。

  1. (注) 工場では、関係官庁・地方公共団体・住民との間で、日頃から、操業に係るリスク情報を共有するように努めることが重要である。

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(さいとう・のりみち)

1971年東京大学法学部卒業。同年松下電器産業㈱に入社し、営業、経理、経営企画、法務の業務を担当。松下電子部品㈱経営企画室長、松下電器産業㈱法務本部法務部長、JVC・ケンウッド・ホールディングス㈱監査役等を経て、2009年パナソニック㈱を退職。損害保険ジャパン日本興亜㈱ 業務品質・コンプライアンス委員会委員長を歴任。

また、内閣府消費者委員会委員(2015年秋退任)、消費者安全調査委員会臨時委員(現)、製品事故判定第三者委員会合同会議議長(現。消費者庁と経済産業省合同)、国民生活センター紛争解決委員会委員(現)、経済産業省産業構造審議会臨時委員、神戸市公正職務審査会委員(現)

 




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